機動戦士ガンダム

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機動戦士ガンダム
作品名
機動戦士ガンダム
きどうせんしがんだむ
略称:
なし
原作
原作者: 矢立肇、富野由悠季
メディア:
 ジャンル
背景: SF
内容:
ロボットアニメ
感想:
 機動戦士ガンダムの評価
★★★★★
★★★★★
総合評価
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ストーリー
story
キャラクター
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作画・アニメ
animation
音楽・主題歌
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声優・配役
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 放送
タイトル
放送局/放送
監督/製作

機動戦士ガンダム 
NBN
1979年4月7日~1980年1月26日(全43話)
富野喜幸 藤原良二 富野喜幸 富野喜幸
日本サンライズ

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星 
NHK総合
2019年4月29日~2019年8月12日(全13話)
今西隆志
サンライズ
あらすじ

機動戦士ガンダム 

舞台は、スペースコロニーへの宇宙移民が始まって半世紀余りが過ぎた未来世界・宇宙世紀0079年。サイド3はジオン公国を名乗り連邦政府に対し独立戦争を挑む。圧倒的な国力差にかかわらず、ジオンはモビルスーツの導入やコロニー落とし等の革新的戦術により、優位に立ち、双方の人口の約半分を死に至らしめた。開戦から半年が経過し、戦争は膠着状態に陥っていた。赤い彗星の異名を持つジオンのシャア・アズナブル少佐は、地球連邦軍の新造艦ホワイトベースを追尾して建造中の中立コロニー・サイド7に辿り着く。サイド7では連邦軍による戦局打開の切り札たるモビルスーツ製造計画V作戦が極秘に進行していた。シャアはモビルスーツ・ザクをサイド7の偵察に送り込む。コロニー内部に侵入した2機のザクは連邦軍のモビルスーツ製造施設を発見。手柄を焦った新兵の暴走により、偶発的な戦闘状態に陥る。連邦軍の技官でモビルスーツ開発者であるテム・レイの息子アムロ・レイは、戦闘の混乱の中、連邦軍の新型モビルスーツ・ガンダムに乗り込む。偶然手にしたマニュアルを片手に、どうにか2機のザクを倒したアムロだったが、ザクに搭載された核融合エンジンの爆発により、コロニーは損壊。生き残ったサイド7市民は避難民と化す。戦闘で正規クルーの大半を失い、艦長であるパオロも重傷を負ったホワイトベースは、やむなく新米士官のブライト・ノアを艦長代理とし、新型モビルスーツの回収と並行して避難民を収容。彼等の中から操船と迎撃に必要な人員を確保したホワイトベースはサイド7を脱出。アムロはなし崩しにガンダムのパイロットに任命される。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星 

人類は、宇宙世紀(以下、U.C.と記す)0001より、増えすぎた地球上の人口をスペースコロニーへと移住させることで地球の人口過密状態とエネルギー問題、環境破壊問題を解決しつつあった。コロニーへと移住した人々は「棄民」と揶揄された一方、宇宙に上がることなく地球に「残り、住み続けること」は、その行為自体が特権(エリート)的行為とされ、前者をスペースノイド、後者をアースノイドと呼び分けるようになった。それぞれのコロニーは自治政府が統治する形態をとりつつも、各コロニーには連邦軍が駐留し、地球連邦を脅かすような大規模な軍隊も持つことが許されなかった。また、コロニーで生産される農産物などの産品は地球連邦への貢納を義務づけられた。U.C.0057、スペースコロニー群サイド3のムンゾ大学教授ジオン・ズム・ダイクンは連邦保安局から内乱予備罪で逮捕状が出る身で、学内自治を名目にダイクンや過激学生を匿う政治的同志、デギン・ソド・ザビ学部長の下で保護されていた。サイド3には反連邦の機運が高く深刻なテロも頻発し、学生運動も盛んだった。デギンの長子ギレン・ザビは、弟のサスロ・ザビ、ランバ・ラルらと共に、ダイクンを信奉する活動家として連邦政府からダイクンを護衛していた。ダイクンは若い頃からの政治的同志で正妻のローゼルシア・ダイクンではなく、酒場で知り合った若い歌姫で愛人のアストライア・トア・ダイクンとの間に男の子を成す。その子こそキャスバル・レム・ダイクン。後に名を変えて、ジオン軍で目覚ましい戦果をあげることになるシャア・アズナブルは、ムンゾ大学の壊れた時計塔の隠し部屋で誕生する。血生臭い時代を経て、ムンゾ自治共和国の最高責任者議長となったダイクンは「棄民の王」と讃えられ、彼が提唱した宇宙移民の中から環境に適応するための新人類誕生……通称ニュータイプの出現が予言めいた形で周知される。この学説はダイクンの名声の高まりと共に、主にスペースノイドの間に広まる。連邦の移民抑圧政策に反発する人々は、熱狂的にダイクンを支持する。
 主題歌
主題歌
「星屑の砂時計」(I)
作詞 - 山川啓介 / 作曲・編曲 - 服部隆之 / 歌 - 服部隆之 Presents GUNDAM THE ORIGIN Featuring yu-yu
「風よ 0074」(II)
作詞 - 松井五郎 / 作曲・編曲 - 服部隆之 / 歌 - 服部隆之 Presents GUNDAM THE ORIGIN featuring 石田匠
「永遠とわのAstraea」(III)
作詞・歌 - 柴咲コウ / 作曲・編曲 - 服部隆之
「宇宙そらの彼方で」(IV)
作詞 - 森雪之丞 / 作曲・編曲 - 服部隆之 / 歌 - 森口博子
「I CAN\'T DO ANYTHING -宇宙そらよ-」(V)
作詞 - 渡辺なつみ / 作曲・編曲 - 服部隆之 / 歌 - 服部隆之 Presents GUNDAM THE ORIGIN featuring AYA
「破線の涙」(VI)
作詞 - 松井五郎 / 作曲・編曲 - 服部隆之 / 歌 - 山崎まさよし
挿入歌
「By Your Side」(II)
作曲・編曲 - 服部隆之 / 作詞・歌 - 澤田かおり
「Don\'t Say Good bye」(V)
作曲・編曲 - 服部隆之 / 作詞・歌 - 澤田かおり
挿入曲
 関連サイト
劇場版 機動戦士ガンダム BD-BOX
機動戦士ガンダム THE ORIGIN

機動戦士ガンダム 配信サイト

 劇場版
タイトル
上映日
監督/製作

機動戦士ガンダム
(きどうせんしがんだむ
1981年3月14日
富野喜幸(総監督)
日本サンライズ

機動戦士ガンダムII 哀・戦士編
(きどうせんしがんだむIIあいせんしへん
1981年7月11日
富野喜幸(総監督)
日本サンライズ

機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編
(きどうせんしがんだむIIIめぐりあいうちゅうへん
1982年3月13日
富野喜幸(総監督)
日本サンライズ

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
(きどうせんしがんだむぎゃくしゅうのしゃあ
1988年3月12日
富野由悠季
サンライズ
物語における状況の詳細については「第二次ネオ・ジオン抗争」を参照宇宙世紀0093年。先のグリプス戦役以降消息不明だった、元ジオン公国軍エース・パイロットで、ジオン共和国創始者ジオン・ズム・ダイクンの息子であるシャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)は、幾多の戦いを経ても旧態依然として地球から宇宙移民を統制し続ける地球連邦政府に対し、ネオ・ジオンを率いて反乱の狼煙を上げる。ネオ・ジオンは、小惑星5thルナを地球連邦政府があるチベットのラサに衝突させようとする。かつてのシャアの宿敵アムロ・レイらが所属する連邦軍の外郭部隊ロンド・ベルの奮闘も空しく、5thルナ落下を阻止することはかなわなかった。ネオ・ジオンは、アデナウアー・パラヤを始めとする地球政府高官と密かに裏取引を行い、スペースコロニー・ロンデニオンにて停戦交渉に合意する。停戦に安堵する地球連邦の思惑と裏腹に、シャアは取引によって得た小惑星アクシズを地球に衝突させるべく、再び作戦を開始した。合意が偽りであることを察していたロンド・ベルは核ミサイルを準備、やがてネオ・ジオンとの間で戦端が開かれる。アムロは自ら開発に加わった新型モビルスーツ・ν(ニュー)ガンダムを駆り、アクシズを目指す。一方、アクシズを内部から爆破して軌道を逸らすロンド・ベルの作戦は成功するかに見えたが、アクシズの一部は既に地球の引力に捉われていた。巨大な岩塊が地球に落下しようとする中、アムロはシャアと最終対決を制しサザビーを撃破しシャアを拿捕する。無謀にもνガンダム1機でアクシズを押し戻そうとしたとき、アムロとシャアそして人々の思いとガンダムのサイコフレームが共振し、眩い光となってアクシズを地球から遠ざけた。しかし、アムロとシャアのその後の行方は判らない。

機動戦士ガンダムF91
(きどうせんしがんだむF91
1991年3月16日
富野由悠季(総監督)
サンライズ

機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光
(きどうせんしがんだむ0083じおんのざんこう
1992年8月29日
今西隆志
サンライズ

機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート
(きどうせんしがんだむだい08MSしょうたいみらーずりぽーと
1998年8月1日
加瀬充子
サンライズ

機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録 1話/2話
(きどうせんしがんだむMSIGLOO1ねんせんそうひろく1わ2わ
2004年7月19日
今西隆志
サンライズ

機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録 3話
(きどうせんしがんだむMSIGLOO1ねんせんそうひろく3わ
2004年11月3日
今西隆志
サンライズ

劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-
(げきじょうばんきどうせんしがんだむ00AwakeningoftheTrailblazer
2010年9月18日
水島精二
サンライズ

機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル
(きどうせんしがんだむTHEORIGINIあおいひとみのきゃすばる
2015年2月28日
安彦良和(総監督)
サンライズ
プロローグ人類は、宇宙世紀(以下、U.C.と記す)0001より、増えすぎた地球上の人口をスペースコロニーへと移住させることで地球の人口過密状態とエネルギー問題、環境破壊問題を解決しつつあった。コロニーへと移住した人々は「棄民」と揶揄された一方、宇宙に上がることなく地球に「残り、住み続けること」は、その行為自体が特権(エリート)的行為とされ、前者をスペースノイド、後者をアースノイドと呼び分けるようになった。それぞれのコロニーは自治政府が統治する形態をとりつつも、各コロニーには連邦軍が駐留し、地球連邦を脅かすような大規模な軍隊も持つことが許されなかった。また、コロニーで生産される農産物などの産品は地球連邦への貢納を義務づけられた。U.C.0057、スペースコロニー群サイド3のムンゾ大学教授ジオン・ズム・ダイクンは連邦保安局から内乱予備罪で逮捕状が出る身で、学内自治を名目にダイクンや過激学生を匿う政治的同志、デギン・ソド・ザビ学部長の下で保護されていた。サイド3には反連邦の機運が高く深刻なテロも頻発し、学生運動も盛んだった。デギンの長子ギレン・ザビは、弟のサスロ・ザビ、ランバ・ラルらと共に、ダイクンを信奉する活動家として連邦政府からダイクンを護衛していた。ダイクンは若い頃からの政治的同志で正妻のローゼルシア・ダイクンではなく、酒場で知り合った若い歌姫で愛人のアストライア・トア・ダイクンとの間に男の子を成す。その子こそキャスバル・レム・ダイクン。後に名を変えて、ジオン軍で目覚ましい戦果をあげることになるシャア・アズナブルは、ムンゾ大学の壊れた時計塔の隠し部屋で誕生する。血生臭い時代を経て、ムンゾ自治共和国の最高責任者議長となったダイクンは「棄民の王」と讃えられ、彼が提唱した宇宙移民の中から環境に適応するための新人類誕生……通称ニュータイプの出現が予言めいた形で周知される。この学説はダイクンの名声の高まりと共に、主にスペースノイドの間に広まる。連邦の移民抑圧政策に反発する人々は、熱狂的にダイクンを支持する。シャア・セイラ編U.C.0068、独立運動の象徴たるダイクンが、議会での対連邦重要演説中に急死を遂げる。人々はダイクンの突然の死に衝撃を受け、大混乱に陥る。求心力を失った政治混乱の中、共に同志として独立運動を支えてきたデギンを戴くザビ家一派とジンバ・ラルを戴くラル家一派の政争が始まる。ダイクンの死についてザビ家は「連邦による暗殺説」を流布し、ラル家は「ザビ家による暗殺説」を流布することで人々は混乱する。キャスバルとアルテイシア・ソム・ダイクンの幼い兄妹は、父の死を理解し悲しむ暇もなく葬儀の帰路に半ば暴徒と化した群衆に囲まれるが、ランバ・ラルに保護される。これに協力したのはキシリア・ザビだった。サスロはみすみすダイクンの遺児をラル家に委ねた妹を詰問する。その後、ザビ家を乗せた車に仕掛けられた爆弾が爆発しサスロが死亡。同乗していた弟のドズル・ザビも重傷を負う。サスロの死とザビ家のマスコミ工作により世論はザビ家寄りとなり、ラル家は窮地へと追い込まれる。ランバ・ラルはラル家ではアストライア達を守りきれないと判断。ダイクンの正妻ローゼルシアを頼る。ローゼルシアはアストライア達を邸宅に迎え入れるが、実質軟禁状態となった。陰謀論に取り憑かれた父ジンバに対し現実主義者たる息子のランバ・ラルは、ザビ家の権力確立を見越してダイクンの遺児を政争から遠ざけるため、アストライアの旧友であるクラウレ・ハモンやタチ・オハラと謀り、キャスバル、アルテイシアそしてジンバを地球に逃がす算段をつける。こうして幼くして実母アストライアと引き離されたキャスバルとアルテイシアは、地球の資産家テアボロ・マスの養子としてエドワウ・マス、セイラ・マスと名を変えて育つことになる。アストライアは女の嫉妬による苛酷な意趣返しで、ダイクン邸の塔にある狭い一室に軟禁状態となり、若くして病を患い衰弱していく。サイド3の政争は情報統制に成功したザビ家の圧勝に終わり、ムンゾに残ったランバ・ラルは正に冷飯喰らいとなる。そして後のジオン公国軍の母体とされるムンゾ自治共和国防衛隊や私兵集団である保安隊を一族で押さえていたザビ家はサイド3市民を掌握する。その結果、デギンがダイクンの後継者として共和国議長となり、更に一族がジオン独立運動の正当な後継者であることを示すため国名をジオン共和国と改め、ギレン・ザビ国民運動部長主導による対連邦戦争遂行体制の整備が進められていく。独立戦争遂行を至上命題としてダイクンの遺児に執着しない長兄のギレンに対し、キシリア・ザビ親衛隊隊長はキャスバルの非凡さを知るあまり、部下たち(後のキシリア機関)を使って執拗に動向を監視する。ジンバ・ラルはエドワウにザビ家こそダイクン暗殺の首謀者だと繰り返し吹き込む。ザビ家一派が油断ならない存在だと子供心にも理解していたエドワウはそれを信じるようになる。やがてジンバは庇護者たるテアボロの了解も得ずにサイド3で工作を行おうとしたことで、ザビ家から刺客を送られ命を落とす。エドワウはどうにか刺客を退けるが、巻き添えでテアボロは重傷を負う。地球に住むこともままならなくなったテアボロは、友人であるヤシマ財閥当主シュウ・ヤシマに相談し、サイド5ルウムの観光コロニーであるテキサスコロニーに移住。そこでエドワウは自分と容姿がそっくりなシャア・アズナブルという青年と知り合い打ち解ける。その後、アストライアの早すぎる死がエドワウとセイラに伝えられる。それを境にしてエドワウはセイラも不安を覚えるほどに不敵で暴力的に豹変し、通っていたハイスクール(養父のテアボロが出資した私立学園であり、校長はテアボロの部下であるにもかかわらず)でもその才覚と意気の凄まじさを校長に怖がられ、キシリア配下の監視役が付きまとってくると襲い掛かってケンカになるがセイラが制止する。シャア青年はジオンの思想に傾倒し、ムンゾの宇宙軍士官養成学校に入学希望し、合格していた。そしてエドワウは、ルウムの学校に進学するため旅立つと言う。「キャスバルがテキサスコロニーを出る」という知らせはキシリア機関の耳に入り、謀殺が企まれる。エドワウは、ムンゾに向かおうとするシャアと同じ船に乗る体を装って謀り、エドワウとして乗船させ自分は残る。こうして本物のシャア青年は「不幸な宇宙船事故」で「エドワウ・マス」として命を落とす。全てを見越してわざと一便遅らせたエドワウは、シャア青年から奪った入学許可証でシャア・アズナブルと偽って士官養成学校に進学。ザビ家の末子たるガルマ・ザビの学友となる。初代校長はドズルが就き、式の貴賓として招かれたのは連邦宇宙軍総司令であるヨハン・イブラヒム・レビルだった。開戦編エドワウはシャアとの違いである瞳の色を誤魔化すため、眼病を理由にバイザーを着用する。ガルマとシャアはそれぞれ首席、次席で士官学校を卒業。准尉に任官する。やがて連邦政府の監視ステーションの職務怠慢が原因で隕石が食糧生産区画に衝突、食糧という貴重な資源と人命が失われる。この事故を契機にサイド3市民の反連邦感情は顕在化して大規模なデモとなり、連邦軍はこれへの治安出動を目論むが、シャアはガルマら士官学生たちを扇動し挙兵させて連邦軍駐屯地を武力制圧する。この作戦時に級友の配慮でシャアは後にお馴染みとなるマスクを受け取る。後に暁の蜂起と呼ばれるこの事件はサイド3市民から歓喜をもって迎えられ、連邦軍に衝撃が走る。ガルマは蜂起のリーダーとして、サイド3市民から英雄と祭り上げられる。ガルマの責任は溺愛するデギンの計らいで不問に付されるが、学校長であるドズルは引責辞任し、共犯者のシャアは准尉から一兵卒に落とされた上に除隊処分となる。傷心のドズルは自らを拘束した女性士官候補生のゼナ・ミアを見初めてプロポーズ。彼女と家庭を持ち、やがて長女ミネバを授かる。シャアは地球に渡り、ギアナ高地に建設中のジャブロー基地でモビルワーカーの作業員となる。シャアは既に独立戦争の切り札となる存在に気付いて、それに向けた準備を進めるのだった。やがてシャアは母国インドから連れて来られた不思議な能力を持つララァ・スンという少女と知り合う。出目を予知する能力でギャンブラーに雇われていたララァをシャアは保護し、サイド3に送る。圧倒的な戦力を保持する連邦軍を相手に独立を勝ち取るには、革新的な戦術とそれを可能にする兵器とが必要だった。サイド3の科学者トレノフ・Y・ミノフスキーはレーダー波に干渉し、ミサイル等の誘導兵器を無効化するミノフスキー粒子を発見・実用化にこぎつける。粒子散布下においては事実上目視に頼る近接戦闘を余儀なくされ、そのための兵器として作業用のモビル・ワーカーを軍用化したモビル・スーツ(MS)をミノフスキー博士が技術顧問を務めるジオニック社が開発することになる。士官学校校長の傍らドズルは開発計画に携わることになり、不遇を託つランバ・ラルの抜擢を思いつく。ラルは後に黒い三連星と呼ばれることになるガイア、マッシュ、オルテガと共にテストパイロットとしてモビルスーツの実用化実験に参加する。ギレンは視察して兵器としての実用性を疑い予算カットを宣告するが、ミノフスキー博士の言葉で考えを改める。そして、表向きは存在しないダークコロニーにて行われる民間船舶の軍用艦化作業と並行し、モビルスーツの開発にも成功する。地球から帰還したシャアは地球でのモビルワーカー操縦経験と元下士官という肩書きでドズルに接近し、ラルや三連星に遅れて合流する。一方、連邦側でもジオンが行うモビルスーツ開発計画は察知していた。アナハイム・エレクトロニクスのモビルスーツ開発部門にあたるRX計画担当技術社員であり、ミノフスキーの弟子テム・レイ部長は既にMSガンキャノンを開発し、連邦軍は月面基地に先行配備していた。やがて、軍事大国化していくジオンへの危機感を抱いたミノフスキーは、ジオンと袂を分かち連邦へ亡命することを決意する。博士の亡命を巡りキシリアも暗躍。この際に行われた史上初のモビルスーツ戦である月面スミス海の戦闘において、シャア、ラル、三連星の5人が搭乗するプロトタイプザクは圧倒的な機動性能を誇り、僅か5機で連邦のガンキャノン部隊12機を壊滅に追い込み、亡命に失敗したミノフスキー博士は死亡。テム・レイが手がけたガンキャノンは完膚なきまでに叩き潰されたものの、この戦闘を教訓として機動性能と火力を併せ持った新型機の構想を力説。これに応じた連邦軍制服組のトップであるゴップ大将は試作機開発に計画段階で頓挫しているサイド7の使用許可を出す。こうして本作の主役機となるガンダム開発計画(V作戦)は始動した。テム・レイは妻のカマリアを地球に残し、一人息子のアムロ・レイを連れてサイド7に移住する。他方、シュウ・ヤシマは投機対象であるコロニー建設計画が遅々としている現状に業を煮やし、才媛として父の期待を受け秘書がわりの娘ミライ・ヤシマを連れ現場であるサイド7に移住する。軍事機密保持のため、民生用に偽装しているサイド7には彼らの他にも民間人が移住。アムロはお節介焼きの隣人フラウ・ボゥや、柔道少年のハヤト・コバヤシ、コンボイレーサーで不良少年のカイ・シデンらと知り合う。カイたちはハヤトや渋るアムロも連れ、建設中とされる区画に潜入。そこが軍用区画として使用され、アムロが軍属の子(厳密には誤解であるが、父のテムレイ博士がガンダム開発で軍に貢献していたため優遇を受ける)で自分たち純粋な民間人とは違うと見せつけられる。ルウム編U.C.0079、デギン議長は公国制を敷き、ジオン公国と改称し、自身は公王を名乗ることで旧ムンゾ共和国におけるザビ家の事実上の世襲支配を宣言。総帥職に就いたギレンは新生ジオン公国の全権を握り、地球連邦への宣戦を布告。その手始めに、反ジオンのスペースコロニー共和国群の制圧に取り掛かる。まず、抵抗するサイド2ハッテ自治共和国の首都島アイランド・イフィッシュの市民を毒ガスにより虐殺し、その多くの市民の死体を乗せたコロニー自体を連邦側の軍機関の中枢ジャブローに向けて落下させるブリティッシュ作戦を実施する。連邦軍の迎撃を受けて3つに分裂したコロニーは当初の目標を外れるも地球の主要都市などに落下し、結果として地球総人口の約半数を葬り去る。ジオン独立戦争の余波はテキサスコロニーにも及んでいた。反ジオン派の市民たちは暴徒と化し、マス家を襲撃。テアボロは心労が祟り命を落とし、セイラは自ら銃を取って防戦に努める。その少し前、ルウムで極秘裏にセイラに接触したタチは死んだ筈のキャスバルがシャア・アズナブルとして生きていることを示唆。セイラは養父の人脈であるヤシマ家を頼り中立コロニーであるサイド7に赴くことになる。次なる標的とされたサイド5ルウム自治共和国近郊での艦隊決戦ルウム戦役において、御前会議の情報をレビルにリークするという手段で連邦軍を欺き、ドズル中将の指揮する主力艦隊は、おとりの艦隊を犠牲にした戦略とモビルスーツを巧みに利用した戦術により大勝し、三連星の働きで連邦宇宙軍総司令官レビルを捕虜とすることに成功する。この戦いでシャアは抜群の功績を挙げ赤い彗星と称されるようになる。連邦とジオンの間で事実上の講和会議である南極条約締結交渉が行われる。先のコロニー落としが全地球に及ぼした甚大な被害と、ルウム戦役の戦果を背景としたジオン優位の講和会議にキシリアは戦争推進派で地球通のマ・クベ中将を全権大使として送り込む。一方、和平を期待するデギン公王は密かに拘留中のレビルと接触し、連邦軍内での和平工作に協力を要請して、彼を逃がす算段をつける。だが、レビルはエルラン中将の働きかけでムンゾを脱出。南極で講和条約締結が成ろうかとしている矢先に、連邦側に戻ったレビルは戦争の継続を主張する大演説『ジオンに兵なし』を行い、連敗続きの連邦軍を鼓舞。講和は事実上反故となり、南極条約はあくまで「戦時協定」となり、双方は星間戦争 (interstellar conflict) の継続を選択する。南極条約締結後、制宙権の大半を握ったジオン公国側はマ・クベを総司令官とする地球侵攻部隊を降下させ、地球攻略戦を開始する。しかし急速に戦線が拡大するなかで、国力に乏しいジオン公国軍は地球圏での情勢に即応した対応が取れないまま、戦争は膠着状態へと陥る。このような戦局の中、モビルスーツの戦術上の重要性に直面した連邦軍側はサイド7での新型機開発計画を推進。MS運用母艦であるペガサス級巡洋艦の就航に漕ぎ着ける。艦長は予備役に退いていた老将パオロ・カシアス。若く未熟なクルーたちを従え、ジャブローからサイド7に帰還するテム・レイを乗艦させ、新型機受領のためペガサス級一番艦、通称ホワイトベースは「民生輸送艦」を装い連邦軍本部ジャブロー基地から出航する。しかし、そうした連邦側の動きはドズルに察知されていた。ドズルはルウムでの破格の働きで佐官に昇格していたシャアにムサイ級最新鋭艦ファルメルを与え、調査任務に送り出す。始動編開戦後もサイド7は中立地帯としてのどかなものだった。ところが、ホワイトベースを追尾するシャアはサイド7が中立とは名ばかりのV作戦の中枢と見なし、6機のザクを強行偵察任務に投入する。実戦配備直前の試作機としてコロニー外で応戦したヴェルツ大尉のガンダム1号機はザク部隊と交戦し、3機のザクと事実上の相討ちとなる。スレンダーはシャアの命令に従って待機の後、報告のため帰還。だが手柄を焦り暴走した新兵ジーンはサイド7内に突入し、無差別攻撃を敢行する。アムロもフラウに促されて避難するが、フラウの家族は爆死。フラウに避難を促しつつ、民間人にも容赦無く牙を剝くジオン軍に激怒したアムロは父のコンピューターで盗み見していた搬出作業中のガンダム2号機に搭乗し、ジーンのザクを撃破。続いてデニム伍長のザクも返り討ちで仕留める。一度の作戦で5機のザクを失ったシャアは「若さ故の過ち」として反省する。パオロはブライト・ノア中尉に指揮を代行させ、リュウ・ホセイ軍曹と共に自ら突撃艇を指揮してファルメルを攻撃するが反撃で重傷を負う。サイド7はザクの熱核融合炉爆発で外部への空気流出が深刻化し、放棄を余儀なくされる。またホワイトベースの正規クルーは迎撃戦で甚大な被害を出し、ガンダム2号機のテストパイロットであるケンプ中尉も戦死。開発責任者のテムも死亡という有様だった。やむなく、ミライが操舵手を担当することになり、迎撃戦で活躍したガンダム2号機も“現状維持”でアムロに扱わせることになる。そうした事態に苦悩するブライトにアムロは反感を抱き、カイやハヤトは自分たちを救ったガンダムのパイロットがアムロだと知って民兵に志願。運悪く戦闘に巻き込まれたセイラは避難民を誘導しつつ、医師の卵やオペレーターとして重宝される。激闘編ホワイトベースが素人だらけの状況下にも拘わらずシャアは艦隊戦を展開させた後、自らザクで出撃。シャアとの遭遇戦でアムロは未熟さを露呈しほぼ完敗するも、スレンダー機を撃墜して撤退に追い込む。連邦軍唯一の宇宙基地であるルナツーへ退避すべき状況で、ミライはシャアが手持ちの戦力に苦慮していると見抜き、補給阻止作戦を提案。ブライトはガンダムを作戦に投入させようとするもアムロが拒否。やむなくリュウが率いるガンタンク・ガンキャノン部隊での作戦実施となる。作戦はほぼ成功。ガデムとの交戦で損傷したカイのガンキャノンを除いてほぼ無傷でパプア級輸送艦を撃沈し、ファルメル撃沈も寸前となるがルナツー所属マゼラン級戦艦の妨害に遭い断念する。ルナツーの司令官ワッケイン少将は一切の弁明を認めず、機密兵器の無断使用などの軍規違反でブライトらを拘束する。一方、シャアもやられっぱなしでは済ませず自ら白兵隊を率いてルナツーに潜入。シャアの部隊の工作で宇宙港は封鎖され、停電の混乱に乗じてブライトらは脱出。シャアの到来を予期したセイラとアムロは武器を手に応戦に臨む。混乱に乗じてガンダムのデータ奪取を図るシャアだったがセイラに発見される。セイラの要請で仮面を取ったシャアの素顔にセイラは動揺。その隙に反撃し、逃走を図ろうというシャアにアムロも発砲される。結局、シャアの工作でルナツーは戦闘不能に陥った上に撤退を許し、補給阻止作戦から帰還したリュウたちは宇宙港を塞ぐ形で座礁したマゼランの撤去作業を行うことになる。そんな中、教え子であるワッケインとの面談中にパオロ艦長は永眠。若者たちに未来を託し、宇宙葬にふされる。避難民の受け入れも本人達の希望で断念し、追われるようにルナツーを出航したホワイトベースはリード大尉のサラミス級巡洋艦に先導されジャブローに向けて発艦。だが、ミライは補給を受けたシャアの追撃を警戒していた。案の定、シャアは常識外の大気圏付近での戦闘に及び、迎撃戦にガンダムを投入せざるを得ない状況となる。アムロはシャアとの二度目のMS戦に臨み奮闘するも帰還困難に陥る。シャアは先の補給で受領していた「ダブルコム」で大気圏に突入。クラウンのザク一機と引き換えにガンダムを大気圏の藻屑にしたかに見えたが、ガンダムはホワイトベース甲板に取り付いて難を逃れる。だが、シャアとの交戦で座標が狂い、ホワイトベースはジオン制圧下の北米大陸に降下してしまう。ガルマ編北米司令官に就くガルマ大佐はシャアと再会して快く迎え入れる。シャアに鼓舞され、自らドップを駆って出撃したガルマだったが、手負いのホワイトベースの思わぬ抵抗に遭う。一方、アムロは大気圏外で孤立させられた恐怖から出撃を拒否するが、ブライトから殴打された後に叱咤され、更にはフラウが出撃すると言い出したことで奮起。「ショルダーマグナム」への換装を指示し、遅れて出撃したガンダムは初めての空中戦をものともせず、敵中孤立していたリュウとハヤトのガンタンクを救出し、ガルマの機甲部隊に大打撃を与える。激昂したガルマはガンダムに迫るが片翼を切り落とされ、更には通信が途絶したことで母艦であるガウ攻撃空母への帰還困難に陥る。ガルマは奇跡的に帰還するが、通信断絶がシャアによる工作だと夢想だにせず部下の失態を詰る。一方、敵に追われ続け食糧事情にも窮するホワイトベース内では避難民たちが蜂起し、フラウやカツ、レツ、キッカを人質としてブライトに下船させるよう交渉を持ちかける騒ぎになっていた。ミライはそれを利用し、「避難民の退避」を名目にガルマと一時休戦の協定を結ぶ。シャアはこれを良い機会と捉え、ホワイトベースとMS隊を分断撃破する作戦を立案。対するミライはもっと強かでシャアの作戦を逆手に取ってガンダムとガンキャノンを避難民を乗せた輸送機ガンペリーに搭載し、キャノン・タンク部隊との挟撃作戦を立案していた(ミード湖の戦闘)。挟撃作戦はおおむね成功。だが、シャアの率いるザク分隊がホワイトベースに与えた痛手も大きく、ミード湖の対岸に退避しようとしたホワイトベースは待ち構えるガルマの砲撃部隊の餌食になるところだったが、マチルダ・アジャン中尉率いるミデア輸送隊の急報で転進して難を逃れる。マチルダは補給物資と引き換えに避難民・負傷兵を受け入れる。レビルの決定はホワイトベースは引き続き正規部隊と同様の作戦行動を求めるという苛酷なものだったが、ホワイトベースは孤立無援ではなく、命掛けで輸送任務を引き受けるマチルダもいた。アムロは毅然とした女性士官であるマチルダに恋心を抱き、フラウに嫉妬される。ホワイトベースは束の間の休日を楽しめることになり、クルーたちは一部を除きバカンスを満喫する。そんな中、郷里が近いアムロは生家に残った母カマリアを訪ねる。だが、中米一帯はジオンと連邦の制圧圏が入り組んでいた。更にジャブロー司令部からホワイトベースにロサンゼルス奪還作戦の命令が下される。アムロは難民キャンプでボランティアに携わるカマリアと再会するが、ジオンのパトロール兵と交戦。アムロ救出に向かったカイ、セイラは追われるアムロを救出。一連の再会劇で息子がすっかり戦争に染まっていることを悟ったカマリアは嘆くが、アムロは母親よりも仲間たちを選ぶのだった。ロスはガルマが本拠地を置く要衝で、ロス市長エッシェンバッハは表面上はジオンに協力する体を装いその実ゲリラと連携していたが、ガルマは更に強かで、相思相愛の関係にあるエッシェンバッハの令嬢イセリナから情報を引き出し、ゲリラ活動をコントロールしていた。パーティでの逢瀬を楽しむガルマのもとにホワイトベースがロスに接近しているという知らせが来たため、ガルマはガウで、シャアはザクで出撃。その際、ホワイトベースが廃墟化したコンベンションセンターに身を隠していることをシャアは察知するが、あえてガルマには知らせず降下爆撃中のガウへ背後からホワイトベース隊の砲撃を受けさせる。ガルマは致命傷を負い、激昂して特攻を目論むも急速上昇したホワイトベースは間一髪でこれを避ける。「生まれの不幸を呪うといい」というシャアの言葉でガルマはシャアに謀られたことを悟るが時既に遅く、戦死を遂げる。ランバ・ラル編ガルマ戦死の報はジオン側では迅速に、連邦側では補給時にマチルダからブライトに内密に伝えられる。デギンの痛手は大きく感傷に浸り、ドズルは激昂する余りシャアを除隊処分とする。だが、キシリアは弟の死にシャアが関わっていると察知していた。また、ギレンはガルマを静かに弔いたいというデギンの意向を踏みにじり、国葬とすることで戦意発揚の材料に使う。国葬後、急遽、ガルシア・ロメオ少将が指揮するジャブロー攻略地上軍の視察に出たキシリアは、部下が逮捕拘束したシャアに面談する。全く悪びれず原隊復帰を要求するシャアの手土産は、連邦軍本部ジャブローへの突入口の情報だった。その頃、「ガルマの仇討ち」というドズルからの命令を受けたランバ・ラルは、新鋭艦ザンジバルで地球に降下。新型機グフを乗り熟してホワイトベースを急襲し、アムロを手玉にとる。他方、ジオンの前線基地が連邦の新型MSに急襲され陥落するという事態が進行していた。両軍がMSを実戦投入したことで、膠着状態は解消に向かう。そしてアムロ、シャアの戦いも激化していくのだった・・・。ジャブロー編オデッサ編ララァ編ソロモン編ひかる宇宙編めぐりあい宇宙編

機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア
(きどうせんしがんだむTHEORIGINIIかなしみのあるていしあ
2015年10月31日
安彦良和(総監督)
サンライズ
プロローグ人類は、宇宙世紀(以下、U.C.と記す)0001より、増えすぎた地球上の人口をスペースコロニーへと移住させることで地球の人口過密状態とエネルギー問題、環境破壊問題を解決しつつあった。コロニーへと移住した人々は「棄民」と揶揄された一方、宇宙に上がることなく地球に「残り、住み続けること」は、その行為自体が特権(エリート)的行為とされ、前者をスペースノイド、後者をアースノイドと呼び分けるようになった。それぞれのコロニーは自治政府が統治する形態をとりつつも、各コロニーには連邦軍が駐留し、地球連邦を脅かすような大規模な軍隊も持つことが許されなかった。また、コロニーで生産される農産物などの産品は地球連邦への貢納を義務づけられた。U.C.0057、スペースコロニー群サイド3のムンゾ大学教授ジオン・ズム・ダイクンは連邦保安局から内乱予備罪で逮捕状が出る身で、学内自治を名目にダイクンや過激学生を匿う政治的同志、デギン・ソド・ザビ学部長の下で保護されていた。サイド3には反連邦の機運が高く深刻なテロも頻発し、学生運動も盛んだった。デギンの長子ギレン・ザビは、弟のサスロ・ザビ、ランバ・ラルらと共に、ダイクンを信奉する活動家として連邦政府からダイクンを護衛していた。ダイクンは若い頃からの政治的同志で正妻のローゼルシア・ダイクンではなく、酒場で知り合った若い歌姫で愛人のアストライア・トア・ダイクンとの間に男の子を成す。その子こそキャスバル・レム・ダイクン。後に名を変えて、ジオン軍で目覚ましい戦果をあげることになるシャア・アズナブルは、ムンゾ大学の壊れた時計塔の隠し部屋で誕生する。血生臭い時代を経て、ムンゾ自治共和国の最高責任者議長となったダイクンは「棄民の王」と讃えられ、彼が提唱した宇宙移民の中から環境に適応するための新人類誕生……通称ニュータイプの出現が予言めいた形で周知される。この学説はダイクンの名声の高まりと共に、主にスペースノイドの間に広まる。連邦の移民抑圧政策に反発する人々は、熱狂的にダイクンを支持する。シャア・セイラ編U.C.0068、独立運動の象徴たるダイクンが、議会での対連邦重要演説中に急死を遂げる。人々はダイクンの突然の死に衝撃を受け、大混乱に陥る。求心力を失った政治混乱の中、共に同志として独立運動を支えてきたデギンを戴くザビ家一派とジンバ・ラルを戴くラル家一派の政争が始まる。ダイクンの死についてザビ家は「連邦による暗殺説」を流布し、ラル家は「ザビ家による暗殺説」を流布することで人々は混乱する。キャスバルとアルテイシア・ソム・ダイクンの幼い兄妹は、父の死を理解し悲しむ暇もなく葬儀の帰路に半ば暴徒と化した群衆に囲まれるが、ランバ・ラルに保護される。これに協力したのはキシリア・ザビだった。サスロはみすみすダイクンの遺児をラル家に委ねた妹を詰問する。その後、ザビ家を乗せた車に仕掛けられた爆弾が爆発しサスロが死亡。同乗していた弟のドズル・ザビも重傷を負う。サスロの死とザビ家のマスコミ工作により世論はザビ家寄りとなり、ラル家は窮地へと追い込まれる。ランバ・ラルはラル家ではアストライア達を守りきれないと判断。ダイクンの正妻ローゼルシアを頼る。ローゼルシアはアストライア達を邸宅に迎え入れるが、実質軟禁状態となった。陰謀論に取り憑かれた父ジンバに対し現実主義者たる息子のランバ・ラルは、ザビ家の権力確立を見越してダイクンの遺児を政争から遠ざけるため、アストライアの旧友であるクラウレ・ハモンやタチ・オハラと謀り、キャスバル、アルテイシアそしてジンバを地球に逃がす算段をつける。こうして幼くして実母アストライアと引き離されたキャスバルとアルテイシアは、地球の資産家テアボロ・マスの養子としてエドワウ・マス、セイラ・マスと名を変えて育つことになる。アストライアは女の嫉妬による苛酷な意趣返しで、ダイクン邸の塔にある狭い一室に軟禁状態となり、若くして病を患い衰弱していく。サイド3の政争は情報統制に成功したザビ家の圧勝に終わり、ムンゾに残ったランバ・ラルは正に冷飯喰らいとなる。そして後のジオン公国軍の母体とされるムンゾ自治共和国防衛隊や私兵集団である保安隊を一族で押さえていたザビ家はサイド3市民を掌握する。その結果、デギンがダイクンの後継者として共和国議長となり、更に一族がジオン独立運動の正当な後継者であることを示すため国名をジオン共和国と改め、ギレン・ザビ国民運動部長主導による対連邦戦争遂行体制の整備が進められていく。独立戦争遂行を至上命題としてダイクンの遺児に執着しない長兄のギレンに対し、キシリア・ザビ親衛隊隊長はキャスバルの非凡さを知るあまり、部下たち(後のキシリア機関)を使って執拗に動向を監視する。ジンバ・ラルはエドワウにザビ家こそダイクン暗殺の首謀者だと繰り返し吹き込む。ザビ家一派が油断ならない存在だと子供心にも理解していたエドワウはそれを信じるようになる。やがてジンバは庇護者たるテアボロの了解も得ずにサイド3で工作を行おうとしたことで、ザビ家から刺客を送られ命を落とす。エドワウはどうにか刺客を退けるが、巻き添えでテアボロは重傷を負う。地球に住むこともままならなくなったテアボロは、友人であるヤシマ財閥当主シュウ・ヤシマに相談し、サイド5ルウムの観光コロニーであるテキサスコロニーに移住。そこでエドワウは自分と容姿がそっくりなシャア・アズナブルという青年と知り合い打ち解ける。その後、アストライアの早すぎる死がエドワウとセイラに伝えられる。それを境にしてエドワウはセイラも不安を覚えるほどに不敵で暴力的に豹変し、通っていたハイスクール(養父のテアボロが出資した私立学園であり、校長はテアボロの部下であるにもかかわらず)でもその才覚と意気の凄まじさを校長に怖がられ、キシリア配下の監視役が付きまとってくると襲い掛かってケンカになるがセイラが制止する。シャア青年はジオンの思想に傾倒し、ムンゾの宇宙軍士官養成学校に入学希望し、合格していた。そしてエドワウは、ルウムの学校に進学するため旅立つと言う。「キャスバルがテキサスコロニーを出る」という知らせはキシリア機関の耳に入り、謀殺が企まれる。エドワウは、ムンゾに向かおうとするシャアと同じ船に乗る体を装って謀り、エドワウとして乗船させ自分は残る。こうして本物のシャア青年は「不幸な宇宙船事故」で「エドワウ・マス」として命を落とす。全てを見越してわざと一便遅らせたエドワウは、シャア青年から奪った入学許可証でシャア・アズナブルと偽って士官養成学校に進学。ザビ家の末子たるガルマ・ザビの学友となる。初代校長はドズルが就き、式の貴賓として招かれたのは連邦宇宙軍総司令であるヨハン・イブラヒム・レビルだった。開戦編エドワウはシャアとの違いである瞳の色を誤魔化すため、眼病を理由にバイザーを着用する。ガルマとシャアはそれぞれ首席、次席で士官学校を卒業。准尉に任官する。やがて連邦政府の監視ステーションの職務怠慢が原因で隕石が食糧生産区画に衝突、食糧という貴重な資源と人命が失われる。この事故を契機にサイド3市民の反連邦感情は顕在化して大規模なデモとなり、連邦軍はこれへの治安出動を目論むが、シャアはガルマら士官学生たちを扇動し挙兵させて連邦軍駐屯地を武力制圧する。この作戦時に級友の配慮でシャアは後にお馴染みとなるマスクを受け取る。後に暁の蜂起と呼ばれるこの事件はサイド3市民から歓喜をもって迎えられ、連邦軍に衝撃が走る。ガルマは蜂起のリーダーとして、サイド3市民から英雄と祭り上げられる。ガルマの責任は溺愛するデギンの計らいで不問に付されるが、学校長であるドズルは引責辞任し、共犯者のシャアは准尉から一兵卒に落とされた上に除隊処分となる。傷心のドズルは自らを拘束した女性士官候補生のゼナ・ミアを見初めてプロポーズ。彼女と家庭を持ち、やがて長女ミネバを授かる。シャアは地球に渡り、ギアナ高地に建設中のジャブロー基地でモビルワーカーの作業員となる。シャアは既に独立戦争の切り札となる存在に気付いて、それに向けた準備を進めるのだった。やがてシャアは母国インドから連れて来られた不思議な能力を持つララァ・スンという少女と知り合う。出目を予知する能力でギャンブラーに雇われていたララァをシャアは保護し、サイド3に送る。圧倒的な戦力を保持する連邦軍を相手に独立を勝ち取るには、革新的な戦術とそれを可能にする兵器とが必要だった。サイド3の科学者トレノフ・Y・ミノフスキーはレーダー波に干渉し、ミサイル等の誘導兵器を無効化するミノフスキー粒子を発見・実用化にこぎつける。粒子散布下においては事実上目視に頼る近接戦闘を余儀なくされ、そのための兵器として作業用のモビル・ワーカーを軍用化したモビル・スーツ(MS)をミノフスキー博士が技術顧問を務めるジオニック社が開発することになる。士官学校校長の傍らドズルは開発計画に携わることになり、不遇を託つランバ・ラルの抜擢を思いつく。ラルは後に黒い三連星と呼ばれることになるガイア、マッシュ、オルテガと共にテストパイロットとしてモビルスーツの実用化実験に参加する。ギレンは視察して兵器としての実用性を疑い予算カットを宣告するが、ミノフスキー博士の言葉で考えを改める。そして、表向きは存在しないダークコロニーにて行われる民間船舶の軍用艦化作業と並行し、モビルスーツの開発にも成功する。地球から帰還したシャアは地球でのモビルワーカー操縦経験と元下士官という肩書きでドズルに接近し、ラルや三連星に遅れて合流する。一方、連邦側でもジオンが行うモビルスーツ開発計画は察知していた。アナハイム・エレクトロニクスのモビルスーツ開発部門にあたるRX計画担当技術社員であり、ミノフスキーの弟子テム・レイ部長は既にMSガンキャノンを開発し、連邦軍は月面基地に先行配備していた。やがて、軍事大国化していくジオンへの危機感を抱いたミノフスキーは、ジオンと袂を分かち連邦へ亡命することを決意する。博士の亡命を巡りキシリアも暗躍。この際に行われた史上初のモビルスーツ戦である月面スミス海の戦闘において、シャア、ラル、三連星の5人が搭乗するプロトタイプザクは圧倒的な機動性能を誇り、僅か5機で連邦のガンキャノン部隊12機を壊滅に追い込み、亡命に失敗したミノフスキー博士は死亡。テム・レイが手がけたガンキャノンは完膚なきまでに叩き潰されたものの、この戦闘を教訓として機動性能と火力を併せ持った新型機の構想を力説。これに応じた連邦軍制服組のトップであるゴップ大将は試作機開発に計画段階で頓挫しているサイド7の使用許可を出す。こうして本作の主役機となるガンダム開発計画(V作戦)は始動した。テム・レイは妻のカマリアを地球に残し、一人息子のアムロ・レイを連れてサイド7に移住する。他方、シュウ・ヤシマは投機対象であるコロニー建設計画が遅々としている現状に業を煮やし、才媛として父の期待を受け秘書がわりの娘ミライ・ヤシマを連れ現場であるサイド7に移住する。軍事機密保持のため、民生用に偽装しているサイド7には彼らの他にも民間人が移住。アムロはお節介焼きの隣人フラウ・ボゥや、柔道少年のハヤト・コバヤシ、コンボイレーサーで不良少年のカイ・シデンらと知り合う。カイたちはハヤトや渋るアムロも連れ、建設中とされる区画に潜入。そこが軍用区画として使用され、アムロが軍属の子(厳密には誤解であるが、父のテムレイ博士がガンダム開発で軍に貢献していたため優遇を受ける)で自分たち純粋な民間人とは違うと見せつけられる。ルウム編U.C.0079、デギン議長は公国制を敷き、ジオン公国と改称し、自身は公王を名乗ることで旧ムンゾ共和国におけるザビ家の事実上の世襲支配を宣言。総帥職に就いたギレンは新生ジオン公国の全権を握り、地球連邦への宣戦を布告。その手始めに、反ジオンのスペースコロニー共和国群の制圧に取り掛かる。まず、抵抗するサイド2ハッテ自治共和国の首都島アイランド・イフィッシュの市民を毒ガスにより虐殺し、その多くの市民の死体を乗せたコロニー自体を連邦側の軍機関の中枢ジャブローに向けて落下させるブリティッシュ作戦を実施する。連邦軍の迎撃を受けて3つに分裂したコロニーは当初の目標を外れるも地球の主要都市などに落下し、結果として地球総人口の約半数を葬り去る。ジオン独立戦争の余波はテキサスコロニーにも及んでいた。反ジオン派の市民たちは暴徒と化し、マス家を襲撃。テアボロは心労が祟り命を落とし、セイラは自ら銃を取って防戦に努める。その少し前、ルウムで極秘裏にセイラに接触したタチは死んだ筈のキャスバルがシャア・アズナブルとして生きていることを示唆。セイラは養父の人脈であるヤシマ家を頼り中立コロニーであるサイド7に赴くことになる。次なる標的とされたサイド5ルウム自治共和国近郊での艦隊決戦ルウム戦役において、御前会議の情報をレビルにリークするという手段で連邦軍を欺き、ドズル中将の指揮する主力艦隊は、おとりの艦隊を犠牲にした戦略とモビルスーツを巧みに利用した戦術により大勝し、三連星の働きで連邦宇宙軍総司令官レビルを捕虜とすることに成功する。この戦いでシャアは抜群の功績を挙げ赤い彗星と称されるようになる。連邦とジオンの間で事実上の講和会議である南極条約締結交渉が行われる。先のコロニー落としが全地球に及ぼした甚大な被害と、ルウム戦役の戦果を背景としたジオン優位の講和会議にキシリアは戦争推進派で地球通のマ・クベ中将を全権大使として送り込む。一方、和平を期待するデギン公王は密かに拘留中のレビルと接触し、連邦軍内での和平工作に協力を要請して、彼を逃がす算段をつける。だが、レビルはエルラン中将の働きかけでムンゾを脱出。南極で講和条約締結が成ろうかとしている矢先に、連邦側に戻ったレビルは戦争の継続を主張する大演説『ジオンに兵なし』を行い、連敗続きの連邦軍を鼓舞。講和は事実上反故となり、南極条約はあくまで「戦時協定」となり、双方は星間戦争 (interstellar conflict) の継続を選択する。南極条約締結後、制宙権の大半を握ったジオン公国側はマ・クベを総司令官とする地球侵攻部隊を降下させ、地球攻略戦を開始する。しかし急速に戦線が拡大するなかで、国力に乏しいジオン公国軍は地球圏での情勢に即応した対応が取れないまま、戦争は膠着状態へと陥る。このような戦局の中、モビルスーツの戦術上の重要性に直面した連邦軍側はサイド7での新型機開発計画を推進。MS運用母艦であるペガサス級巡洋艦の就航に漕ぎ着ける。艦長は予備役に退いていた老将パオロ・カシアス。若く未熟なクルーたちを従え、ジャブローからサイド7に帰還するテム・レイを乗艦させ、新型機受領のためペガサス級一番艦、通称ホワイトベースは「民生輸送艦」を装い連邦軍本部ジャブロー基地から出航する。しかし、そうした連邦側の動きはドズルに察知されていた。ドズルはルウムでの破格の働きで佐官に昇格していたシャアにムサイ級最新鋭艦ファルメルを与え、調査任務に送り出す。始動編開戦後もサイド7は中立地帯としてのどかなものだった。ところが、ホワイトベースを追尾するシャアはサイド7が中立とは名ばかりのV作戦の中枢と見なし、6機のザクを強行偵察任務に投入する。実戦配備直前の試作機としてコロニー外で応戦したヴェルツ大尉のガンダム1号機はザク部隊と交戦し、3機のザクと事実上の相討ちとなる。スレンダーはシャアの命令に従って待機の後、報告のため帰還。だが手柄を焦り暴走した新兵ジーンはサイド7内に突入し、無差別攻撃を敢行する。アムロもフラウに促されて避難するが、フラウの家族は爆死。フラウに避難を促しつつ、民間人にも容赦無く牙を剝くジオン軍に激怒したアムロは父のコンピューターで盗み見していた搬出作業中のガンダム2号機に搭乗し、ジーンのザクを撃破。続いてデニム伍長のザクも返り討ちで仕留める。一度の作戦で5機のザクを失ったシャアは「若さ故の過ち」として反省する。パオロはブライト・ノア中尉に指揮を代行させ、リュウ・ホセイ軍曹と共に自ら突撃艇を指揮してファルメルを攻撃するが反撃で重傷を負う。サイド7はザクの熱核融合炉爆発で外部への空気流出が深刻化し、放棄を余儀なくされる。またホワイトベースの正規クルーは迎撃戦で甚大な被害を出し、ガンダム2号機のテストパイロットであるケンプ中尉も戦死。開発責任者のテムも死亡という有様だった。やむなく、ミライが操舵手を担当することになり、迎撃戦で活躍したガンダム2号機も“現状維持”でアムロに扱わせることになる。そうした事態に苦悩するブライトにアムロは反感を抱き、カイやハヤトは自分たちを救ったガンダムのパイロットがアムロだと知って民兵に志願。運悪く戦闘に巻き込まれたセイラは避難民を誘導しつつ、医師の卵やオペレーターとして重宝される。激闘編ホワイトベースが素人だらけの状況下にも拘わらずシャアは艦隊戦を展開させた後、自らザクで出撃。シャアとの遭遇戦でアムロは未熟さを露呈しほぼ完敗するも、スレンダー機を撃墜して撤退に追い込む。連邦軍唯一の宇宙基地であるルナツーへ退避すべき状況で、ミライはシャアが手持ちの戦力に苦慮していると見抜き、補給阻止作戦を提案。ブライトはガンダムを作戦に投入させようとするもアムロが拒否。やむなくリュウが率いるガンタンク・ガンキャノン部隊での作戦実施となる。作戦はほぼ成功。ガデムとの交戦で損傷したカイのガンキャノンを除いてほぼ無傷でパプア級輸送艦を撃沈し、ファルメル撃沈も寸前となるがルナツー所属マゼラン級戦艦の妨害に遭い断念する。ルナツーの司令官ワッケイン少将は一切の弁明を認めず、機密兵器の無断使用などの軍規違反でブライトらを拘束する。一方、シャアもやられっぱなしでは済ませず自ら白兵隊を率いてルナツーに潜入。シャアの部隊の工作で宇宙港は封鎖され、停電の混乱に乗じてブライトらは脱出。シャアの到来を予期したセイラとアムロは武器を手に応戦に臨む。混乱に乗じてガンダムのデータ奪取を図るシャアだったがセイラに発見される。セイラの要請で仮面を取ったシャアの素顔にセイラは動揺。その隙に反撃し、逃走を図ろうというシャアにアムロも発砲される。結局、シャアの工作でルナツーは戦闘不能に陥った上に撤退を許し、補給阻止作戦から帰還したリュウたちは宇宙港を塞ぐ形で座礁したマゼランの撤去作業を行うことになる。そんな中、教え子であるワッケインとの面談中にパオロ艦長は永眠。若者たちに未来を託し、宇宙葬にふされる。避難民の受け入れも本人達の希望で断念し、追われるようにルナツーを出航したホワイトベースはリード大尉のサラミス級巡洋艦に先導されジャブローに向けて発艦。だが、ミライは補給を受けたシャアの追撃を警戒していた。案の定、シャアは常識外の大気圏付近での戦闘に及び、迎撃戦にガンダムを投入せざるを得ない状況となる。アムロはシャアとの二度目のMS戦に臨み奮闘するも帰還困難に陥る。シャアは先の補給で受領していた「ダブルコム」で大気圏に突入。クラウンのザク一機と引き換えにガンダムを大気圏の藻屑にしたかに見えたが、ガンダムはホワイトベース甲板に取り付いて難を逃れる。だが、シャアとの交戦で座標が狂い、ホワイトベースはジオン制圧下の北米大陸に降下してしまう。ガルマ編北米司令官に就くガルマ大佐はシャアと再会して快く迎え入れる。シャアに鼓舞され、自らドップを駆って出撃したガルマだったが、手負いのホワイトベースの思わぬ抵抗に遭う。一方、アムロは大気圏外で孤立させられた恐怖から出撃を拒否するが、ブライトから殴打された後に叱咤され、更にはフラウが出撃すると言い出したことで奮起。「ショルダーマグナム」への換装を指示し、遅れて出撃したガンダムは初めての空中戦をものともせず、敵中孤立していたリュウとハヤトのガンタンクを救出し、ガルマの機甲部隊に大打撃を与える。激昂したガルマはガンダムに迫るが片翼を切り落とされ、更には通信が途絶したことで母艦であるガウ攻撃空母への帰還困難に陥る。ガルマは奇跡的に帰還するが、通信断絶がシャアによる工作だと夢想だにせず部下の失態を詰る。一方、敵に追われ続け食糧事情にも窮するホワイトベース内では避難民たちが蜂起し、フラウやカツ、レツ、キッカを人質としてブライトに下船させるよう交渉を持ちかける騒ぎになっていた。ミライはそれを利用し、「避難民の退避」を名目にガルマと一時休戦の協定を結ぶ。シャアはこれを良い機会と捉え、ホワイトベースとMS隊を分断撃破する作戦を立案。対するミライはもっと強かでシャアの作戦を逆手に取ってガンダムとガンキャノンを避難民を乗せた輸送機ガンペリーに搭載し、キャノン・タンク部隊との挟撃作戦を立案していた(ミード湖の戦闘)。挟撃作戦はおおむね成功。だが、シャアの率いるザク分隊がホワイトベースに与えた痛手も大きく、ミード湖の対岸に退避しようとしたホワイトベースは待ち構えるガルマの砲撃部隊の餌食になるところだったが、マチルダ・アジャン中尉率いるミデア輸送隊の急報で転進して難を逃れる。マチルダは補給物資と引き換えに避難民・負傷兵を受け入れる。レビルの決定はホワイトベースは引き続き正規部隊と同様の作戦行動を求めるという苛酷なものだったが、ホワイトベースは孤立無援ではなく、命掛けで輸送任務を引き受けるマチルダもいた。アムロは毅然とした女性士官であるマチルダに恋心を抱き、フラウに嫉妬される。ホワイトベースは束の間の休日を楽しめることになり、クルーたちは一部を除きバカンスを満喫する。そんな中、郷里が近いアムロは生家に残った母カマリアを訪ねる。だが、中米一帯はジオンと連邦の制圧圏が入り組んでいた。更にジャブロー司令部からホワイトベースにロサンゼルス奪還作戦の命令が下される。アムロは難民キャンプでボランティアに携わるカマリアと再会するが、ジオンのパトロール兵と交戦。アムロ救出に向かったカイ、セイラは追われるアムロを救出。一連の再会劇で息子がすっかり戦争に染まっていることを悟ったカマリアは嘆くが、アムロは母親よりも仲間たちを選ぶのだった。ロスはガルマが本拠地を置く要衝で、ロス市長エッシェンバッハは表面上はジオンに協力する体を装いその実ゲリラと連携していたが、ガルマは更に強かで、相思相愛の関係にあるエッシェンバッハの令嬢イセリナから情報を引き出し、ゲリラ活動をコントロールしていた。パーティでの逢瀬を楽しむガルマのもとにホワイトベースがロスに接近しているという知らせが来たため、ガルマはガウで、シャアはザクで出撃。その際、ホワイトベースが廃墟化したコンベンションセンターに身を隠していることをシャアは察知するが、あえてガルマには知らせず降下爆撃中のガウへ背後からホワイトベース隊の砲撃を受けさせる。ガルマは致命傷を負い、激昂して特攻を目論むも急速上昇したホワイトベースは間一髪でこれを避ける。「生まれの不幸を呪うといい」というシャアの言葉でガルマはシャアに謀られたことを悟るが時既に遅く、戦死を遂げる。ランバ・ラル編ガルマ戦死の報はジオン側では迅速に、連邦側では補給時にマチルダからブライトに内密に伝えられる。デギンの痛手は大きく感傷に浸り、ドズルは激昂する余りシャアを除隊処分とする。だが、キシリアは弟の死にシャアが関わっていると察知していた。また、ギレンはガルマを静かに弔いたいというデギンの意向を踏みにじり、国葬とすることで戦意発揚の材料に使う。国葬後、急遽、ガルシア・ロメオ少将が指揮するジャブロー攻略地上軍の視察に出たキシリアは、部下が逮捕拘束したシャアに面談する。全く悪びれず原隊復帰を要求するシャアの手土産は、連邦軍本部ジャブローへの突入口の情報だった。その頃、「ガルマの仇討ち」というドズルからの命令を受けたランバ・ラルは、新鋭艦ザンジバルで地球に降下。新型機グフを乗り熟してホワイトベースを急襲し、アムロを手玉にとる。他方、ジオンの前線基地が連邦の新型MSに急襲され陥落するという事態が進行していた。両軍がMSを実戦投入したことで、膠着状態は解消に向かう。そしてアムロ、シャアの戦いも激化していくのだった・・・。ジャブロー編オデッサ編ララァ編ソロモン編ひかる宇宙編めぐりあい宇宙編

機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起
(きどうせんしがんだむTHEORIGINIIIあかつきのほうき
2016年5月21日
安彦良和(総監督)
サンライズ
プロローグ人類は、宇宙世紀(以下、U.C.と記す)0001より、増えすぎた地球上の人口をスペースコロニーへと移住させることで地球の人口過密状態とエネルギー問題、環境破壊問題を解決しつつあった。コロニーへと移住した人々は「棄民」と揶揄された一方、宇宙に上がることなく地球に「残り、住み続けること」は、その行為自体が特権(エリート)的行為とされ、前者をスペースノイド、後者をアースノイドと呼び分けるようになった。それぞれのコロニーは自治政府が統治する形態をとりつつも、各コロニーには連邦軍が駐留し、地球連邦を脅かすような大規模な軍隊も持つことが許されなかった。また、コロニーで生産される農産物などの産品は地球連邦への貢納を義務づけられた。U.C.0057、スペースコロニー群サイド3のムンゾ大学教授ジオン・ズム・ダイクンは連邦保安局から内乱予備罪で逮捕状が出る身で、学内自治を名目にダイクンや過激学生を匿う政治的同志、デギン・ソド・ザビ学部長の下で保護されていた。サイド3には反連邦の機運が高く深刻なテロも頻発し、学生運動も盛んだった。デギンの長子ギレン・ザビは、弟のサスロ・ザビ、ランバ・ラルらと共に、ダイクンを信奉する活動家として連邦政府からダイクンを護衛していた。ダイクンは若い頃からの政治的同志で正妻のローゼルシア・ダイクンではなく、酒場で知り合った若い歌姫で愛人のアストライア・トア・ダイクンとの間に男の子を成す。その子こそキャスバル・レム・ダイクン。後に名を変えて、ジオン軍で目覚ましい戦果をあげることになるシャア・アズナブルは、ムンゾ大学の壊れた時計塔の隠し部屋で誕生する。血生臭い時代を経て、ムンゾ自治共和国の最高責任者議長となったダイクンは「棄民の王」と讃えられ、彼が提唱した宇宙移民の中から環境に適応するための新人類誕生……通称ニュータイプの出現が予言めいた形で周知される。この学説はダイクンの名声の高まりと共に、主にスペースノイドの間に広まる。連邦の移民抑圧政策に反発する人々は、熱狂的にダイクンを支持する。シャア・セイラ編U.C.0068、独立運動の象徴たるダイクンが、議会での対連邦重要演説中に急死を遂げる。人々はダイクンの突然の死に衝撃を受け、大混乱に陥る。求心力を失った政治混乱の中、共に同志として独立運動を支えてきたデギンを戴くザビ家一派とジンバ・ラルを戴くラル家一派の政争が始まる。ダイクンの死についてザビ家は「連邦による暗殺説」を流布し、ラル家は「ザビ家による暗殺説」を流布することで人々は混乱する。キャスバルとアルテイシア・ソム・ダイクンの幼い兄妹は、父の死を理解し悲しむ暇もなく葬儀の帰路に半ば暴徒と化した群衆に囲まれるが、ランバ・ラルに保護される。これに協力したのはキシリア・ザビだった。サスロはみすみすダイクンの遺児をラル家に委ねた妹を詰問する。その後、ザビ家を乗せた車に仕掛けられた爆弾が爆発しサスロが死亡。同乗していた弟のドズル・ザビも重傷を負う。サスロの死とザビ家のマスコミ工作により世論はザビ家寄りとなり、ラル家は窮地へと追い込まれる。ランバ・ラルはラル家ではアストライア達を守りきれないと判断。ダイクンの正妻ローゼルシアを頼る。ローゼルシアはアストライア達を邸宅に迎え入れるが、実質軟禁状態となった。陰謀論に取り憑かれた父ジンバに対し現実主義者たる息子のランバ・ラルは、ザビ家の権力確立を見越してダイクンの遺児を政争から遠ざけるため、アストライアの旧友であるクラウレ・ハモンやタチ・オハラと謀り、キャスバル、アルテイシアそしてジンバを地球に逃がす算段をつける。こうして幼くして実母アストライアと引き離されたキャスバルとアルテイシアは、地球の資産家テアボロ・マスの養子としてエドワウ・マス、セイラ・マスと名を変えて育つことになる。アストライアは女の嫉妬による苛酷な意趣返しで、ダイクン邸の塔にある狭い一室に軟禁状態となり、若くして病を患い衰弱していく。サイド3の政争は情報統制に成功したザビ家の圧勝に終わり、ムンゾに残ったランバ・ラルは正に冷飯喰らいとなる。そして後のジオン公国軍の母体とされるムンゾ自治共和国防衛隊や私兵集団である保安隊を一族で押さえていたザビ家はサイド3市民を掌握する。その結果、デギンがダイクンの後継者として共和国議長となり、更に一族がジオン独立運動の正当な後継者であることを示すため国名をジオン共和国と改め、ギレン・ザビ国民運動部長主導による対連邦戦争遂行体制の整備が進められていく。独立戦争遂行を至上命題としてダイクンの遺児に執着しない長兄のギレンに対し、キシリア・ザビ親衛隊隊長はキャスバルの非凡さを知るあまり、部下たち(後のキシリア機関)を使って執拗に動向を監視する。ジンバ・ラルはエドワウにザビ家こそダイクン暗殺の首謀者だと繰り返し吹き込む。ザビ家一派が油断ならない存在だと子供心にも理解していたエドワウはそれを信じるようになる。やがてジンバは庇護者たるテアボロの了解も得ずにサイド3で工作を行おうとしたことで、ザビ家から刺客を送られ命を落とす。エドワウはどうにか刺客を退けるが、巻き添えでテアボロは重傷を負う。地球に住むこともままならなくなったテアボロは、友人であるヤシマ財閥当主シュウ・ヤシマに相談し、サイド5ルウムの観光コロニーであるテキサスコロニーに移住。そこでエドワウは自分と容姿がそっくりなシャア・アズナブルという青年と知り合い打ち解ける。その後、アストライアの早すぎる死がエドワウとセイラに伝えられる。それを境にしてエドワウはセイラも不安を覚えるほどに不敵で暴力的に豹変し、通っていたハイスクール(養父のテアボロが出資した私立学園であり、校長はテアボロの部下であるにもかかわらず)でもその才覚と意気の凄まじさを校長に怖がられ、キシリア配下の監視役が付きまとってくると襲い掛かってケンカになるがセイラが制止する。シャア青年はジオンの思想に傾倒し、ムンゾの宇宙軍士官養成学校に入学希望し、合格していた。そしてエドワウは、ルウムの学校に進学するため旅立つと言う。「キャスバルがテキサスコロニーを出る」という知らせはキシリア機関の耳に入り、謀殺が企まれる。エドワウは、ムンゾに向かおうとするシャアと同じ船に乗る体を装って謀り、エドワウとして乗船させ自分は残る。こうして本物のシャア青年は「不幸な宇宙船事故」で「エドワウ・マス」として命を落とす。全てを見越してわざと一便遅らせたエドワウは、シャア青年から奪った入学許可証でシャア・アズナブルと偽って士官養成学校に進学。ザビ家の末子たるガルマ・ザビの学友となる。初代校長はドズルが就き、式の貴賓として招かれたのは連邦宇宙軍総司令であるヨハン・イブラヒム・レビルだった。開戦編エドワウはシャアとの違いである瞳の色を誤魔化すため、眼病を理由にバイザーを着用する。ガルマとシャアはそれぞれ首席、次席で士官学校を卒業。准尉に任官する。やがて連邦政府の監視ステーションの職務怠慢が原因で隕石が食糧生産区画に衝突、食糧という貴重な資源と人命が失われる。この事故を契機にサイド3市民の反連邦感情は顕在化して大規模なデモとなり、連邦軍はこれへの治安出動を目論むが、シャアはガルマら士官学生たちを扇動し挙兵させて連邦軍駐屯地を武力制圧する。この作戦時に級友の配慮でシャアは後にお馴染みとなるマスクを受け取る。後に暁の蜂起と呼ばれるこの事件はサイド3市民から歓喜をもって迎えられ、連邦軍に衝撃が走る。ガルマは蜂起のリーダーとして、サイド3市民から英雄と祭り上げられる。ガルマの責任は溺愛するデギンの計らいで不問に付されるが、学校長であるドズルは引責辞任し、共犯者のシャアは准尉から一兵卒に落とされた上に除隊処分となる。傷心のドズルは自らを拘束した女性士官候補生のゼナ・ミアを見初めてプロポーズ。彼女と家庭を持ち、やがて長女ミネバを授かる。シャアは地球に渡り、ギアナ高地に建設中のジャブロー基地でモビルワーカーの作業員となる。シャアは既に独立戦争の切り札となる存在に気付いて、それに向けた準備を進めるのだった。やがてシャアは母国インドから連れて来られた不思議な能力を持つララァ・スンという少女と知り合う。出目を予知する能力でギャンブラーに雇われていたララァをシャアは保護し、サイド3に送る。圧倒的な戦力を保持する連邦軍を相手に独立を勝ち取るには、革新的な戦術とそれを可能にする兵器とが必要だった。サイド3の科学者トレノフ・Y・ミノフスキーはレーダー波に干渉し、ミサイル等の誘導兵器を無効化するミノフスキー粒子を発見・実用化にこぎつける。粒子散布下においては事実上目視に頼る近接戦闘を余儀なくされ、そのための兵器として作業用のモビル・ワーカーを軍用化したモビル・スーツ(MS)をミノフスキー博士が技術顧問を務めるジオニック社が開発することになる。士官学校校長の傍らドズルは開発計画に携わることになり、不遇を託つランバ・ラルの抜擢を思いつく。ラルは後に黒い三連星と呼ばれることになるガイア、マッシュ、オルテガと共にテストパイロットとしてモビルスーツの実用化実験に参加する。ギレンは視察して兵器としての実用性を疑い予算カットを宣告するが、ミノフスキー博士の言葉で考えを改める。そして、表向きは存在しないダークコロニーにて行われる民間船舶の軍用艦化作業と並行し、モビルスーツの開発にも成功する。地球から帰還したシャアは地球でのモビルワーカー操縦経験と元下士官という肩書きでドズルに接近し、ラルや三連星に遅れて合流する。一方、連邦側でもジオンが行うモビルスーツ開発計画は察知していた。アナハイム・エレクトロニクスのモビルスーツ開発部門にあたるRX計画担当技術社員であり、ミノフスキーの弟子テム・レイ部長は既にMSガンキャノンを開発し、連邦軍は月面基地に先行配備していた。やがて、軍事大国化していくジオンへの危機感を抱いたミノフスキーは、ジオンと袂を分かち連邦へ亡命することを決意する。博士の亡命を巡りキシリアも暗躍。この際に行われた史上初のモビルスーツ戦である月面スミス海の戦闘において、シャア、ラル、三連星の5人が搭乗するプロトタイプザクは圧倒的な機動性能を誇り、僅か5機で連邦のガンキャノン部隊12機を壊滅に追い込み、亡命に失敗したミノフスキー博士は死亡。テム・レイが手がけたガンキャノンは完膚なきまでに叩き潰されたものの、この戦闘を教訓として機動性能と火力を併せ持った新型機の構想を力説。これに応じた連邦軍制服組のトップであるゴップ大将は試作機開発に計画段階で頓挫しているサイド7の使用許可を出す。こうして本作の主役機となるガンダム開発計画(V作戦)は始動した。テム・レイは妻のカマリアを地球に残し、一人息子のアムロ・レイを連れてサイド7に移住する。他方、シュウ・ヤシマは投機対象であるコロニー建設計画が遅々としている現状に業を煮やし、才媛として父の期待を受け秘書がわりの娘ミライ・ヤシマを連れ現場であるサイド7に移住する。軍事機密保持のため、民生用に偽装しているサイド7には彼らの他にも民間人が移住。アムロはお節介焼きの隣人フラウ・ボゥや、柔道少年のハヤト・コバヤシ、コンボイレーサーで不良少年のカイ・シデンらと知り合う。カイたちはハヤトや渋るアムロも連れ、建設中とされる区画に潜入。そこが軍用区画として使用され、アムロが軍属の子(厳密には誤解であるが、父のテムレイ博士がガンダム開発で軍に貢献していたため優遇を受ける)で自分たち純粋な民間人とは違うと見せつけられる。ルウム編U.C.0079、デギン議長は公国制を敷き、ジオン公国と改称し、自身は公王を名乗ることで旧ムンゾ共和国におけるザビ家の事実上の世襲支配を宣言。総帥職に就いたギレンは新生ジオン公国の全権を握り、地球連邦への宣戦を布告。その手始めに、反ジオンのスペースコロニー共和国群の制圧に取り掛かる。まず、抵抗するサイド2ハッテ自治共和国の首都島アイランド・イフィッシュの市民を毒ガスにより虐殺し、その多くの市民の死体を乗せたコロニー自体を連邦側の軍機関の中枢ジャブローに向けて落下させるブリティッシュ作戦を実施する。連邦軍の迎撃を受けて3つに分裂したコロニーは当初の目標を外れるも地球の主要都市などに落下し、結果として地球総人口の約半数を葬り去る。ジオン独立戦争の余波はテキサスコロニーにも及んでいた。反ジオン派の市民たちは暴徒と化し、マス家を襲撃。テアボロは心労が祟り命を落とし、セイラは自ら銃を取って防戦に努める。その少し前、ルウムで極秘裏にセイラに接触したタチは死んだ筈のキャスバルがシャア・アズナブルとして生きていることを示唆。セイラは養父の人脈であるヤシマ家を頼り中立コロニーであるサイド7に赴くことになる。次なる標的とされたサイド5ルウム自治共和国近郊での艦隊決戦ルウム戦役において、御前会議の情報をレビルにリークするという手段で連邦軍を欺き、ドズル中将の指揮する主力艦隊は、おとりの艦隊を犠牲にした戦略とモビルスーツを巧みに利用した戦術により大勝し、三連星の働きで連邦宇宙軍総司令官レビルを捕虜とすることに成功する。この戦いでシャアは抜群の功績を挙げ赤い彗星と称されるようになる。連邦とジオンの間で事実上の講和会議である南極条約締結交渉が行われる。先のコロニー落としが全地球に及ぼした甚大な被害と、ルウム戦役の戦果を背景としたジオン優位の講和会議にキシリアは戦争推進派で地球通のマ・クベ中将を全権大使として送り込む。一方、和平を期待するデギン公王は密かに拘留中のレビルと接触し、連邦軍内での和平工作に協力を要請して、彼を逃がす算段をつける。だが、レビルはエルラン中将の働きかけでムンゾを脱出。南極で講和条約締結が成ろうかとしている矢先に、連邦側に戻ったレビルは戦争の継続を主張する大演説『ジオンに兵なし』を行い、連敗続きの連邦軍を鼓舞。講和は事実上反故となり、南極条約はあくまで「戦時協定」となり、双方は星間戦争 (interstellar conflict) の継続を選択する。南極条約締結後、制宙権の大半を握ったジオン公国側はマ・クベを総司令官とする地球侵攻部隊を降下させ、地球攻略戦を開始する。しかし急速に戦線が拡大するなかで、国力に乏しいジオン公国軍は地球圏での情勢に即応した対応が取れないまま、戦争は膠着状態へと陥る。このような戦局の中、モビルスーツの戦術上の重要性に直面した連邦軍側はサイド7での新型機開発計画を推進。MS運用母艦であるペガサス級巡洋艦の就航に漕ぎ着ける。艦長は予備役に退いていた老将パオロ・カシアス。若く未熟なクルーたちを従え、ジャブローからサイド7に帰還するテム・レイを乗艦させ、新型機受領のためペガサス級一番艦、通称ホワイトベースは「民生輸送艦」を装い連邦軍本部ジャブロー基地から出航する。しかし、そうした連邦側の動きはドズルに察知されていた。ドズルはルウムでの破格の働きで佐官に昇格していたシャアにムサイ級最新鋭艦ファルメルを与え、調査任務に送り出す。始動編開戦後もサイド7は中立地帯としてのどかなものだった。ところが、ホワイトベースを追尾するシャアはサイド7が中立とは名ばかりのV作戦の中枢と見なし、6機のザクを強行偵察任務に投入する。実戦配備直前の試作機としてコロニー外で応戦したヴェルツ大尉のガンダム1号機はザク部隊と交戦し、3機のザクと事実上の相討ちとなる。スレンダーはシャアの命令に従って待機の後、報告のため帰還。だが手柄を焦り暴走した新兵ジーンはサイド7内に突入し、無差別攻撃を敢行する。アムロもフラウに促されて避難するが、フラウの家族は爆死。フラウに避難を促しつつ、民間人にも容赦無く牙を剝くジオン軍に激怒したアムロは父のコンピューターで盗み見していた搬出作業中のガンダム2号機に搭乗し、ジーンのザクを撃破。続いてデニム伍長のザクも返り討ちで仕留める。一度の作戦で5機のザクを失ったシャアは「若さ故の過ち」として反省する。パオロはブライト・ノア中尉に指揮を代行させ、リュウ・ホセイ軍曹と共に自ら突撃艇を指揮してファルメルを攻撃するが反撃で重傷を負う。サイド7はザクの熱核融合炉爆発で外部への空気流出が深刻化し、放棄を余儀なくされる。またホワイトベースの正規クルーは迎撃戦で甚大な被害を出し、ガンダム2号機のテストパイロットであるケンプ中尉も戦死。開発責任者のテムも死亡という有様だった。やむなく、ミライが操舵手を担当することになり、迎撃戦で活躍したガンダム2号機も“現状維持”でアムロに扱わせることになる。そうした事態に苦悩するブライトにアムロは反感を抱き、カイやハヤトは自分たちを救ったガンダムのパイロットがアムロだと知って民兵に志願。運悪く戦闘に巻き込まれたセイラは避難民を誘導しつつ、医師の卵やオペレーターとして重宝される。激闘編ホワイトベースが素人だらけの状況下にも拘わらずシャアは艦隊戦を展開させた後、自らザクで出撃。シャアとの遭遇戦でアムロは未熟さを露呈しほぼ完敗するも、スレンダー機を撃墜して撤退に追い込む。連邦軍唯一の宇宙基地であるルナツーへ退避すべき状況で、ミライはシャアが手持ちの戦力に苦慮していると見抜き、補給阻止作戦を提案。ブライトはガンダムを作戦に投入させようとするもアムロが拒否。やむなくリュウが率いるガンタンク・ガンキャノン部隊での作戦実施となる。作戦はほぼ成功。ガデムとの交戦で損傷したカイのガンキャノンを除いてほぼ無傷でパプア級輸送艦を撃沈し、ファルメル撃沈も寸前となるがルナツー所属マゼラン級戦艦の妨害に遭い断念する。ルナツーの司令官ワッケイン少将は一切の弁明を認めず、機密兵器の無断使用などの軍規違反でブライトらを拘束する。一方、シャアもやられっぱなしでは済ませず自ら白兵隊を率いてルナツーに潜入。シャアの部隊の工作で宇宙港は封鎖され、停電の混乱に乗じてブライトらは脱出。シャアの到来を予期したセイラとアムロは武器を手に応戦に臨む。混乱に乗じてガンダムのデータ奪取を図るシャアだったがセイラに発見される。セイラの要請で仮面を取ったシャアの素顔にセイラは動揺。その隙に反撃し、逃走を図ろうというシャアにアムロも発砲される。結局、シャアの工作でルナツーは戦闘不能に陥った上に撤退を許し、補給阻止作戦から帰還したリュウたちは宇宙港を塞ぐ形で座礁したマゼランの撤去作業を行うことになる。そんな中、教え子であるワッケインとの面談中にパオロ艦長は永眠。若者たちに未来を託し、宇宙葬にふされる。避難民の受け入れも本人達の希望で断念し、追われるようにルナツーを出航したホワイトベースはリード大尉のサラミス級巡洋艦に先導されジャブローに向けて発艦。だが、ミライは補給を受けたシャアの追撃を警戒していた。案の定、シャアは常識外の大気圏付近での戦闘に及び、迎撃戦にガンダムを投入せざるを得ない状況となる。アムロはシャアとの二度目のMS戦に臨み奮闘するも帰還困難に陥る。シャアは先の補給で受領していた「ダブルコム」で大気圏に突入。クラウンのザク一機と引き換えにガンダムを大気圏の藻屑にしたかに見えたが、ガンダムはホワイトベース甲板に取り付いて難を逃れる。だが、シャアとの交戦で座標が狂い、ホワイトベースはジオン制圧下の北米大陸に降下してしまう。ガルマ編北米司令官に就くガルマ大佐はシャアと再会して快く迎え入れる。シャアに鼓舞され、自らドップを駆って出撃したガルマだったが、手負いのホワイトベースの思わぬ抵抗に遭う。一方、アムロは大気圏外で孤立させられた恐怖から出撃を拒否するが、ブライトから殴打された後に叱咤され、更にはフラウが出撃すると言い出したことで奮起。「ショルダーマグナム」への換装を指示し、遅れて出撃したガンダムは初めての空中戦をものともせず、敵中孤立していたリュウとハヤトのガンタンクを救出し、ガルマの機甲部隊に大打撃を与える。激昂したガルマはガンダムに迫るが片翼を切り落とされ、更には通信が途絶したことで母艦であるガウ攻撃空母への帰還困難に陥る。ガルマは奇跡的に帰還するが、通信断絶がシャアによる工作だと夢想だにせず部下の失態を詰る。一方、敵に追われ続け食糧事情にも窮するホワイトベース内では避難民たちが蜂起し、フラウやカツ、レツ、キッカを人質としてブライトに下船させるよう交渉を持ちかける騒ぎになっていた。ミライはそれを利用し、「避難民の退避」を名目にガルマと一時休戦の協定を結ぶ。シャアはこれを良い機会と捉え、ホワイトベースとMS隊を分断撃破する作戦を立案。対するミライはもっと強かでシャアの作戦を逆手に取ってガンダムとガンキャノンを避難民を乗せた輸送機ガンペリーに搭載し、キャノン・タンク部隊との挟撃作戦を立案していた(ミード湖の戦闘)。挟撃作戦はおおむね成功。だが、シャアの率いるザク分隊がホワイトベースに与えた痛手も大きく、ミード湖の対岸に退避しようとしたホワイトベースは待ち構えるガルマの砲撃部隊の餌食になるところだったが、マチルダ・アジャン中尉率いるミデア輸送隊の急報で転進して難を逃れる。マチルダは補給物資と引き換えに避難民・負傷兵を受け入れる。レビルの決定はホワイトベースは引き続き正規部隊と同様の作戦行動を求めるという苛酷なものだったが、ホワイトベースは孤立無援ではなく、命掛けで輸送任務を引き受けるマチルダもいた。アムロは毅然とした女性士官であるマチルダに恋心を抱き、フラウに嫉妬される。ホワイトベースは束の間の休日を楽しめることになり、クルーたちは一部を除きバカンスを満喫する。そんな中、郷里が近いアムロは生家に残った母カマリアを訪ねる。だが、中米一帯はジオンと連邦の制圧圏が入り組んでいた。更にジャブロー司令部からホワイトベースにロサンゼルス奪還作戦の命令が下される。アムロは難民キャンプでボランティアに携わるカマリアと再会するが、ジオンのパトロール兵と交戦。アムロ救出に向かったカイ、セイラは追われるアムロを救出。一連の再会劇で息子がすっかり戦争に染まっていることを悟ったカマリアは嘆くが、アムロは母親よりも仲間たちを選ぶのだった。ロスはガルマが本拠地を置く要衝で、ロス市長エッシェンバッハは表面上はジオンに協力する体を装いその実ゲリラと連携していたが、ガルマは更に強かで、相思相愛の関係にあるエッシェンバッハの令嬢イセリナから情報を引き出し、ゲリラ活動をコントロールしていた。パーティでの逢瀬を楽しむガルマのもとにホワイトベースがロスに接近しているという知らせが来たため、ガルマはガウで、シャアはザクで出撃。その際、ホワイトベースが廃墟化したコンベンションセンターに身を隠していることをシャアは察知するが、あえてガルマには知らせず降下爆撃中のガウへ背後からホワイトベース隊の砲撃を受けさせる。ガルマは致命傷を負い、激昂して特攻を目論むも急速上昇したホワイトベースは間一髪でこれを避ける。「生まれの不幸を呪うといい」というシャアの言葉でガルマはシャアに謀られたことを悟るが時既に遅く、戦死を遂げる。ランバ・ラル編ガルマ戦死の報はジオン側では迅速に、連邦側では補給時にマチルダからブライトに内密に伝えられる。デギンの痛手は大きく感傷に浸り、ドズルは激昂する余りシャアを除隊処分とする。だが、キシリアは弟の死にシャアが関わっていると察知していた。また、ギレンはガルマを静かに弔いたいというデギンの意向を踏みにじり、国葬とすることで戦意発揚の材料に使う。国葬後、急遽、ガルシア・ロメオ少将が指揮するジャブロー攻略地上軍の視察に出たキシリアは、部下が逮捕拘束したシャアに面談する。全く悪びれず原隊復帰を要求するシャアの手土産は、連邦軍本部ジャブローへの突入口の情報だった。その頃、「ガルマの仇討ち」というドズルからの命令を受けたランバ・ラルは、新鋭艦ザンジバルで地球に降下。新型機グフを乗り熟してホワイトベースを急襲し、アムロを手玉にとる。他方、ジオンの前線基地が連邦の新型MSに急襲され陥落するという事態が進行していた。両軍がMSを実戦投入したことで、膠着状態は解消に向かう。そしてアムロ、シャアの戦いも激化していくのだった・・・。ジャブロー編オデッサ編ララァ編ソロモン編ひかる宇宙編めぐりあい宇宙編

機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY
(きどうせんしがんだむさんだーぼるとDECEMBERSKY
2016年6月25日
松尾衡
サンライズ
本編第1部 宇宙編(本編第1話 - 第32話)宇宙世紀0079年12月、一年戦争末期。ジオン公国軍の拠点はア・バオア・クーを残すのみとなっていた。地球連邦軍はジオンにとって重要な補給路である「サンダーボルト宙域」の制宙権を奪還すべく幾度もMS部隊を派遣するが、スナイパーMS部隊「リビング・デッド師団」によってことごとく退けられていた。一方、連邦内の旧サイド4「ムーア」の再興を悲願とする一団「ムーア同胞団」も、連邦への貢献度を示すことを目的に艦隊を派遣する。スペース・コロニーの残骸が散乱する宙域で、ムーア同胞団の敏腕MSパイロットイオ・フレミングと、リビング・デッド師団の義足のスナイパーダリル・ローレンツは宿命的な出会いを果たす。イオは強力無比な武装や装甲を追加した最新鋭MS「フルアーマーガンダム」、ダリルはリユース・サイコ・デバイス(以下「RPD」)を装備した実験MS「サイコ・ザク」に搭乗する。イオはリビングデッド師団を、ダリルはムーア同胞団を壊滅せしめ、ついに彼らは交戦する。死闘の末に双方の機体は行動不能となり、艦隊も壊滅したところでジオン軍「セイレーン機動艦隊」が到着する。イオらムーア同胞団の生存者たちは捕虜となるが、ア・バオア・クー戦の混乱に乗じて脱出に成功し、終戦を迎える。第2部 地球編(本編第33話 - 132話)一年戦争終結から7か月が経過した宇宙世紀0080年7月。戦後の混乱・貧困と連邦の支配力低下をきっかけとして、極東からインド洋・中東周辺地域を勢力圏とする「南洋同盟」は連邦からの独立と宗教国家建設を目論み、極秘にRPDの開発を継続していた。連邦軍参謀本部のモニカ・ハンフリー大佐は、単機で艦隊を潰滅させたRPDを戦局を一変させ得る脅威として、これを奪取・破壊する「サンダーボルト作戦」を発令。ペガサス級強襲揚陸艦「スパルタン」は作戦に参加するために地球へ降下する。一方、元セイレーン機動艦隊のクライバー将軍らジオン残党軍も、ジオン再興のためRPDの開発データ奪取を目論み、南洋同盟へ部隊を派遣する。そこにはイオとダリル、そして連邦軍の新型MS「アトラスガンダム」の姿があった。スパルタンは南洋同盟MS部隊の攻撃を受け、イオは行方不明だったクローディアが南洋同盟の指揮官として敵対していることを知る。南洋同盟の海上都市リグに潜入したダリルらは、指導者にしてニュータイプであるレヴァン・フウの意思と接触し、その志を知る。そしてジオン軍のままでは、例えカーラが回復しても再び怪物の母として望まぬことを強いられることと、自分の望みが再びサイコ・ザクに乗ることであることを自覚したダリルは、ジオン残党軍を見限って殲滅するとカーラたちと共に南洋同盟へ帰順し、サイコ・ザクの製造拠点であるタール火山基地にてその生産の仕上げを行う。フウは、全世界規模の死の商人でもある巨大企業「アナハイム・エレクトロニクス」を討つべく、量産したサイコ・ザクで旧ジオン軍が開発したコロニーレーザー「ソーラ・レイ」を奪取する作戦を発動し、宇宙への撤退を始める。そこをスパルタンが強襲し、サイコ・ザクの試作機を駆るダリルとイオの戦いは地下基地内までおよぶ。試作機が限界を超えて決着がつきかけるが、クローディアらによって組み上がったサイコ・ザク・マーク2が届けられた結果、イオはダリルを守ろうとするクローディアを手にかけてしまう。そのショックでイオは戦闘不能となり、サイコ・ザク・マーク2に乗り換えたダリルは、シャトルの打ち上げをサポートするためにスパルタンを撃沈する。タール島での戦いが終わり、敵も味方も次の戦場に向かって動き始める。宇宙に上がる手段を求めてジオン残党から弾き出されたヨハン・ガレに協力するダリル。戦いには間に合わず、ドミトリーやビリーを連れて脱出しダリル同様に宇宙を目指すカウフマン。そしてフウと共に宇宙拠点に向かったカーラたちは秘匿されていた「ビグ・ザム」に驚愕する。そして沈むスパルタンから脱出したクルーは少なくない犠牲を経て任務を達成するべく再出発する。第3部 新宇宙編(本編第133話 -)外伝単発エピソードについては#単発エピソードの登場人物を参照。砂鼠ショーン一年戦争終結から3か月が経過した宇宙世紀0080年前半。ダリルの戦友だったショーン・ミタデラは、地球のアフリカ大陸の砂漠にてジャンク屋集団「砂鼠」の用心棒として生きていた。やがて、連邦軍崩れの強盗団「砂漠の鷹旅団」との激戦に勝利したショーンらは、「砂漠の鷹旅団」から助けた後に自分たちを助けてくれた連邦軍女性パイロットのモニカを、「砂鼠」へ迎え入れる。砂漠の掟(外伝第15話 - 第22話)ガンダムバウンサーを駆る女用心棒ファルコン・モニカとして「砂鼠」から離れて久しいモニカは、絶命寸前の男性から龍骨街のロレンツォ・ファミーリアに奪われた積荷を取り返す依頼を受ける。モニカが向かったそこは砂漠のオアシスにして闇のマーケットであり、オークションに出品されたビッグガンに着目するショーンの姿もあった。乱入したショーンによるビッグガンの誤射やそれによる混乱を経て、モニカは依頼を達成する。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜
(きどうせんしがんだむTHEORIGINIVうんめいのぜんや
2016年11月19日
安彦良和(総監督)
サンライズ
プロローグ人類は、宇宙世紀(以下、U.C.と記す)0001より、増えすぎた地球上の人口をスペースコロニーへと移住させることで地球の人口過密状態とエネルギー問題、環境破壊問題を解決しつつあった。コロニーへと移住した人々は「棄民」と揶揄された一方、宇宙に上がることなく地球に「残り、住み続けること」は、その行為自体が特権(エリート)的行為とされ、前者をスペースノイド、後者をアースノイドと呼び分けるようになった。それぞれのコロニーは自治政府が統治する形態をとりつつも、各コロニーには連邦軍が駐留し、地球連邦を脅かすような大規模な軍隊も持つことが許されなかった。また、コロニーで生産される農産物などの産品は地球連邦への貢納を義務づけられた。U.C.0057、スペースコロニー群サイド3のムンゾ大学教授ジオン・ズム・ダイクンは連邦保安局から内乱予備罪で逮捕状が出る身で、学内自治を名目にダイクンや過激学生を匿う政治的同志、デギン・ソド・ザビ学部長の下で保護されていた。サイド3には反連邦の機運が高く深刻なテロも頻発し、学生運動も盛んだった。デギンの長子ギレン・ザビは、弟のサスロ・ザビ、ランバ・ラルらと共に、ダイクンを信奉する活動家として連邦政府からダイクンを護衛していた。ダイクンは若い頃からの政治的同志で正妻のローゼルシア・ダイクンではなく、酒場で知り合った若い歌姫で愛人のアストライア・トア・ダイクンとの間に男の子を成す。その子こそキャスバル・レム・ダイクン。後に名を変えて、ジオン軍で目覚ましい戦果をあげることになるシャア・アズナブルは、ムンゾ大学の壊れた時計塔の隠し部屋で誕生する。血生臭い時代を経て、ムンゾ自治共和国の最高責任者議長となったダイクンは「棄民の王」と讃えられ、彼が提唱した宇宙移民の中から環境に適応するための新人類誕生……通称ニュータイプの出現が予言めいた形で周知される。この学説はダイクンの名声の高まりと共に、主にスペースノイドの間に広まる。連邦の移民抑圧政策に反発する人々は、熱狂的にダイクンを支持する。シャア・セイラ編U.C.0068、独立運動の象徴たるダイクンが、議会での対連邦重要演説中に急死を遂げる。人々はダイクンの突然の死に衝撃を受け、大混乱に陥る。求心力を失った政治混乱の中、共に同志として独立運動を支えてきたデギンを戴くザビ家一派とジンバ・ラルを戴くラル家一派の政争が始まる。ダイクンの死についてザビ家は「連邦による暗殺説」を流布し、ラル家は「ザビ家による暗殺説」を流布することで人々は混乱する。キャスバルとアルテイシア・ソム・ダイクンの幼い兄妹は、父の死を理解し悲しむ暇もなく葬儀の帰路に半ば暴徒と化した群衆に囲まれるが、ランバ・ラルに保護される。これに協力したのはキシリア・ザビだった。サスロはみすみすダイクンの遺児をラル家に委ねた妹を詰問する。その後、ザビ家を乗せた車に仕掛けられた爆弾が爆発しサスロが死亡。同乗していた弟のドズル・ザビも重傷を負う。サスロの死とザビ家のマスコミ工作により世論はザビ家寄りとなり、ラル家は窮地へと追い込まれる。ランバ・ラルはラル家ではアストライア達を守りきれないと判断。ダイクンの正妻ローゼルシアを頼る。ローゼルシアはアストライア達を邸宅に迎え入れるが、実質軟禁状態となった。陰謀論に取り憑かれた父ジンバに対し現実主義者たる息子のランバ・ラルは、ザビ家の権力確立を見越してダイクンの遺児を政争から遠ざけるため、アストライアの旧友であるクラウレ・ハモンやタチ・オハラと謀り、キャスバル、アルテイシアそしてジンバを地球に逃がす算段をつける。こうして幼くして実母アストライアと引き離されたキャスバルとアルテイシアは、地球の資産家テアボロ・マスの養子としてエドワウ・マス、セイラ・マスと名を変えて育つことになる。アストライアは女の嫉妬による苛酷な意趣返しで、ダイクン邸の塔にある狭い一室に軟禁状態となり、若くして病を患い衰弱していく。サイド3の政争は情報統制に成功したザビ家の圧勝に終わり、ムンゾに残ったランバ・ラルは正に冷飯喰らいとなる。そして後のジオン公国軍の母体とされるムンゾ自治共和国防衛隊や私兵集団である保安隊を一族で押さえていたザビ家はサイド3市民を掌握する。その結果、デギンがダイクンの後継者として共和国議長となり、更に一族がジオン独立運動の正当な後継者であることを示すため国名をジオン共和国と改め、ギレン・ザビ国民運動部長主導による対連邦戦争遂行体制の整備が進められていく。独立戦争遂行を至上命題としてダイクンの遺児に執着しない長兄のギレンに対し、キシリア・ザビ親衛隊隊長はキャスバルの非凡さを知るあまり、部下たち(後のキシリア機関)を使って執拗に動向を監視する。ジンバ・ラルはエドワウにザビ家こそダイクン暗殺の首謀者だと繰り返し吹き込む。ザビ家一派が油断ならない存在だと子供心にも理解していたエドワウはそれを信じるようになる。やがてジンバは庇護者たるテアボロの了解も得ずにサイド3で工作を行おうとしたことで、ザビ家から刺客を送られ命を落とす。エドワウはどうにか刺客を退けるが、巻き添えでテアボロは重傷を負う。地球に住むこともままならなくなったテアボロは、友人であるヤシマ財閥当主シュウ・ヤシマに相談し、サイド5ルウムの観光コロニーであるテキサスコロニーに移住。そこでエドワウは自分と容姿がそっくりなシャア・アズナブルという青年と知り合い打ち解ける。その後、アストライアの早すぎる死がエドワウとセイラに伝えられる。それを境にしてエドワウはセイラも不安を覚えるほどに不敵で暴力的に豹変し、通っていたハイスクール(養父のテアボロが出資した私立学園であり、校長はテアボロの部下であるにもかかわらず)でもその才覚と意気の凄まじさを校長に怖がられ、キシリア配下の監視役が付きまとってくると襲い掛かってケンカになるがセイラが制止する。シャア青年はジオンの思想に傾倒し、ムンゾの宇宙軍士官養成学校に入学希望し、合格していた。そしてエドワウは、ルウムの学校に進学するため旅立つと言う。「キャスバルがテキサスコロニーを出る」という知らせはキシリア機関の耳に入り、謀殺が企まれる。エドワウは、ムンゾに向かおうとするシャアと同じ船に乗る体を装って謀り、エドワウとして乗船させ自分は残る。こうして本物のシャア青年は「不幸な宇宙船事故」で「エドワウ・マス」として命を落とす。全てを見越してわざと一便遅らせたエドワウは、シャア青年から奪った入学許可証でシャア・アズナブルと偽って士官養成学校に進学。ザビ家の末子たるガルマ・ザビの学友となる。初代校長はドズルが就き、式の貴賓として招かれたのは連邦宇宙軍総司令であるヨハン・イブラヒム・レビルだった。開戦編エドワウはシャアとの違いである瞳の色を誤魔化すため、眼病を理由にバイザーを着用する。ガルマとシャアはそれぞれ首席、次席で士官学校を卒業。准尉に任官する。やがて連邦政府の監視ステーションの職務怠慢が原因で隕石が食糧生産区画に衝突、食糧という貴重な資源と人命が失われる。この事故を契機にサイド3市民の反連邦感情は顕在化して大規模なデモとなり、連邦軍はこれへの治安出動を目論むが、シャアはガルマら士官学生たちを扇動し挙兵させて連邦軍駐屯地を武力制圧する。この作戦時に級友の配慮でシャアは後にお馴染みとなるマスクを受け取る。後に暁の蜂起と呼ばれるこの事件はサイド3市民から歓喜をもって迎えられ、連邦軍に衝撃が走る。ガルマは蜂起のリーダーとして、サイド3市民から英雄と祭り上げられる。ガルマの責任は溺愛するデギンの計らいで不問に付されるが、学校長であるドズルは引責辞任し、共犯者のシャアは准尉から一兵卒に落とされた上に除隊処分となる。傷心のドズルは自らを拘束した女性士官候補生のゼナ・ミアを見初めてプロポーズ。彼女と家庭を持ち、やがて長女ミネバを授かる。シャアは地球に渡り、ギアナ高地に建設中のジャブロー基地でモビルワーカーの作業員となる。シャアは既に独立戦争の切り札となる存在に気付いて、それに向けた準備を進めるのだった。やがてシャアは母国インドから連れて来られた不思議な能力を持つララァ・スンという少女と知り合う。出目を予知する能力でギャンブラーに雇われていたララァをシャアは保護し、サイド3に送る。圧倒的な戦力を保持する連邦軍を相手に独立を勝ち取るには、革新的な戦術とそれを可能にする兵器とが必要だった。サイド3の科学者トレノフ・Y・ミノフスキーはレーダー波に干渉し、ミサイル等の誘導兵器を無効化するミノフスキー粒子を発見・実用化にこぎつける。粒子散布下においては事実上目視に頼る近接戦闘を余儀なくされ、そのための兵器として作業用のモビル・ワーカーを軍用化したモビル・スーツ(MS)をミノフスキー博士が技術顧問を務めるジオニック社が開発することになる。士官学校校長の傍らドズルは開発計画に携わることになり、不遇を託つランバ・ラルの抜擢を思いつく。ラルは後に黒い三連星と呼ばれることになるガイア、マッシュ、オルテガと共にテストパイロットとしてモビルスーツの実用化実験に参加する。ギレンは視察して兵器としての実用性を疑い予算カットを宣告するが、ミノフスキー博士の言葉で考えを改める。そして、表向きは存在しないダークコロニーにて行われる民間船舶の軍用艦化作業と並行し、モビルスーツの開発にも成功する。地球から帰還したシャアは地球でのモビルワーカー操縦経験と元下士官という肩書きでドズルに接近し、ラルや三連星に遅れて合流する。一方、連邦側でもジオンが行うモビルスーツ開発計画は察知していた。アナハイム・エレクトロニクスのモビルスーツ開発部門にあたるRX計画担当技術社員であり、ミノフスキーの弟子テム・レイ部長は既にMSガンキャノンを開発し、連邦軍は月面基地に先行配備していた。やがて、軍事大国化していくジオンへの危機感を抱いたミノフスキーは、ジオンと袂を分かち連邦へ亡命することを決意する。博士の亡命を巡りキシリアも暗躍。この際に行われた史上初のモビルスーツ戦である月面スミス海の戦闘において、シャア、ラル、三連星の5人が搭乗するプロトタイプザクは圧倒的な機動性能を誇り、僅か5機で連邦のガンキャノン部隊12機を壊滅に追い込み、亡命に失敗したミノフスキー博士は死亡。テム・レイが手がけたガンキャノンは完膚なきまでに叩き潰されたものの、この戦闘を教訓として機動性能と火力を併せ持った新型機の構想を力説。これに応じた連邦軍制服組のトップであるゴップ大将は試作機開発に計画段階で頓挫しているサイド7の使用許可を出す。こうして本作の主役機となるガンダム開発計画(V作戦)は始動した。テム・レイは妻のカマリアを地球に残し、一人息子のアムロ・レイを連れてサイド7に移住する。他方、シュウ・ヤシマは投機対象であるコロニー建設計画が遅々としている現状に業を煮やし、才媛として父の期待を受け秘書がわりの娘ミライ・ヤシマを連れ現場であるサイド7に移住する。軍事機密保持のため、民生用に偽装しているサイド7には彼らの他にも民間人が移住。アムロはお節介焼きの隣人フラウ・ボゥや、柔道少年のハヤト・コバヤシ、コンボイレーサーで不良少年のカイ・シデンらと知り合う。カイたちはハヤトや渋るアムロも連れ、建設中とされる区画に潜入。そこが軍用区画として使用され、アムロが軍属の子(厳密には誤解であるが、父のテムレイ博士がガンダム開発で軍に貢献していたため優遇を受ける)で自分たち純粋な民間人とは違うと見せつけられる。ルウム編U.C.0079、デギン議長は公国制を敷き、ジオン公国と改称し、自身は公王を名乗ることで旧ムンゾ共和国におけるザビ家の事実上の世襲支配を宣言。総帥職に就いたギレンは新生ジオン公国の全権を握り、地球連邦への宣戦を布告。その手始めに、反ジオンのスペースコロニー共和国群の制圧に取り掛かる。まず、抵抗するサイド2ハッテ自治共和国の首都島アイランド・イフィッシュの市民を毒ガスにより虐殺し、その多くの市民の死体を乗せたコロニー自体を連邦側の軍機関の中枢ジャブローに向けて落下させるブリティッシュ作戦を実施する。連邦軍の迎撃を受けて3つに分裂したコロニーは当初の目標を外れるも地球の主要都市などに落下し、結果として地球総人口の約半数を葬り去る。ジオン独立戦争の余波はテキサスコロニーにも及んでいた。反ジオン派の市民たちは暴徒と化し、マス家を襲撃。テアボロは心労が祟り命を落とし、セイラは自ら銃を取って防戦に努める。その少し前、ルウムで極秘裏にセイラに接触したタチは死んだ筈のキャスバルがシャア・アズナブルとして生きていることを示唆。セイラは養父の人脈であるヤシマ家を頼り中立コロニーであるサイド7に赴くことになる。次なる標的とされたサイド5ルウム自治共和国近郊での艦隊決戦ルウム戦役において、御前会議の情報をレビルにリークするという手段で連邦軍を欺き、ドズル中将の指揮する主力艦隊は、おとりの艦隊を犠牲にした戦略とモビルスーツを巧みに利用した戦術により大勝し、三連星の働きで連邦宇宙軍総司令官レビルを捕虜とすることに成功する。この戦いでシャアは抜群の功績を挙げ赤い彗星と称されるようになる。連邦とジオンの間で事実上の講和会議である南極条約締結交渉が行われる。先のコロニー落としが全地球に及ぼした甚大な被害と、ルウム戦役の戦果を背景としたジオン優位の講和会議にキシリアは戦争推進派で地球通のマ・クベ中将を全権大使として送り込む。一方、和平を期待するデギン公王は密かに拘留中のレビルと接触し、連邦軍内での和平工作に協力を要請して、彼を逃がす算段をつける。だが、レビルはエルラン中将の働きかけでムンゾを脱出。南極で講和条約締結が成ろうかとしている矢先に、連邦側に戻ったレビルは戦争の継続を主張する大演説『ジオンに兵なし』を行い、連敗続きの連邦軍を鼓舞。講和は事実上反故となり、南極条約はあくまで「戦時協定」となり、双方は星間戦争 (interstellar conflict) の継続を選択する。南極条約締結後、制宙権の大半を握ったジオン公国側はマ・クベを総司令官とする地球侵攻部隊を降下させ、地球攻略戦を開始する。しかし急速に戦線が拡大するなかで、国力に乏しいジオン公国軍は地球圏での情勢に即応した対応が取れないまま、戦争は膠着状態へと陥る。このような戦局の中、モビルスーツの戦術上の重要性に直面した連邦軍側はサイド7での新型機開発計画を推進。MS運用母艦であるペガサス級巡洋艦の就航に漕ぎ着ける。艦長は予備役に退いていた老将パオロ・カシアス。若く未熟なクルーたちを従え、ジャブローからサイド7に帰還するテム・レイを乗艦させ、新型機受領のためペガサス級一番艦、通称ホワイトベースは「民生輸送艦」を装い連邦軍本部ジャブロー基地から出航する。しかし、そうした連邦側の動きはドズルに察知されていた。ドズルはルウムでの破格の働きで佐官に昇格していたシャアにムサイ級最新鋭艦ファルメルを与え、調査任務に送り出す。始動編開戦後もサイド7は中立地帯としてのどかなものだった。ところが、ホワイトベースを追尾するシャアはサイド7が中立とは名ばかりのV作戦の中枢と見なし、6機のザクを強行偵察任務に投入する。実戦配備直前の試作機としてコロニー外で応戦したヴェルツ大尉のガンダム1号機はザク部隊と交戦し、3機のザクと事実上の相討ちとなる。スレンダーはシャアの命令に従って待機の後、報告のため帰還。だが手柄を焦り暴走した新兵ジーンはサイド7内に突入し、無差別攻撃を敢行する。アムロもフラウに促されて避難するが、フラウの家族は爆死。フラウに避難を促しつつ、民間人にも容赦無く牙を剝くジオン軍に激怒したアムロは父のコンピューターで盗み見していた搬出作業中のガンダム2号機に搭乗し、ジーンのザクを撃破。続いてデニム伍長のザクも返り討ちで仕留める。一度の作戦で5機のザクを失ったシャアは「若さ故の過ち」として反省する。パオロはブライト・ノア中尉に指揮を代行させ、リュウ・ホセイ軍曹と共に自ら突撃艇を指揮してファルメルを攻撃するが反撃で重傷を負う。サイド7はザクの熱核融合炉爆発で外部への空気流出が深刻化し、放棄を余儀なくされる。またホワイトベースの正規クルーは迎撃戦で甚大な被害を出し、ガンダム2号機のテストパイロットであるケンプ中尉も戦死。開発責任者のテムも死亡という有様だった。やむなく、ミライが操舵手を担当することになり、迎撃戦で活躍したガンダム2号機も“現状維持”でアムロに扱わせることになる。そうした事態に苦悩するブライトにアムロは反感を抱き、カイやハヤトは自分たちを救ったガンダムのパイロットがアムロだと知って民兵に志願。運悪く戦闘に巻き込まれたセイラは避難民を誘導しつつ、医師の卵やオペレーターとして重宝される。激闘編ホワイトベースが素人だらけの状況下にも拘わらずシャアは艦隊戦を展開させた後、自らザクで出撃。シャアとの遭遇戦でアムロは未熟さを露呈しほぼ完敗するも、スレンダー機を撃墜して撤退に追い込む。連邦軍唯一の宇宙基地であるルナツーへ退避すべき状況で、ミライはシャアが手持ちの戦力に苦慮していると見抜き、補給阻止作戦を提案。ブライトはガンダムを作戦に投入させようとするもアムロが拒否。やむなくリュウが率いるガンタンク・ガンキャノン部隊での作戦実施となる。作戦はほぼ成功。ガデムとの交戦で損傷したカイのガンキャノンを除いてほぼ無傷でパプア級輸送艦を撃沈し、ファルメル撃沈も寸前となるがルナツー所属マゼラン級戦艦の妨害に遭い断念する。ルナツーの司令官ワッケイン少将は一切の弁明を認めず、機密兵器の無断使用などの軍規違反でブライトらを拘束する。一方、シャアもやられっぱなしでは済ませず自ら白兵隊を率いてルナツーに潜入。シャアの部隊の工作で宇宙港は封鎖され、停電の混乱に乗じてブライトらは脱出。シャアの到来を予期したセイラとアムロは武器を手に応戦に臨む。混乱に乗じてガンダムのデータ奪取を図るシャアだったがセイラに発見される。セイラの要請で仮面を取ったシャアの素顔にセイラは動揺。その隙に反撃し、逃走を図ろうというシャアにアムロも発砲される。結局、シャアの工作でルナツーは戦闘不能に陥った上に撤退を許し、補給阻止作戦から帰還したリュウたちは宇宙港を塞ぐ形で座礁したマゼランの撤去作業を行うことになる。そんな中、教え子であるワッケインとの面談中にパオロ艦長は永眠。若者たちに未来を託し、宇宙葬にふされる。避難民の受け入れも本人達の希望で断念し、追われるようにルナツーを出航したホワイトベースはリード大尉のサラミス級巡洋艦に先導されジャブローに向けて発艦。だが、ミライは補給を受けたシャアの追撃を警戒していた。案の定、シャアは常識外の大気圏付近での戦闘に及び、迎撃戦にガンダムを投入せざるを得ない状況となる。アムロはシャアとの二度目のMS戦に臨み奮闘するも帰還困難に陥る。シャアは先の補給で受領していた「ダブルコム」で大気圏に突入。クラウンのザク一機と引き換えにガンダムを大気圏の藻屑にしたかに見えたが、ガンダムはホワイトベース甲板に取り付いて難を逃れる。だが、シャアとの交戦で座標が狂い、ホワイトベースはジオン制圧下の北米大陸に降下してしまう。ガルマ編北米司令官に就くガルマ大佐はシャアと再会して快く迎え入れる。シャアに鼓舞され、自らドップを駆って出撃したガルマだったが、手負いのホワイトベースの思わぬ抵抗に遭う。一方、アムロは大気圏外で孤立させられた恐怖から出撃を拒否するが、ブライトから殴打された後に叱咤され、更にはフラウが出撃すると言い出したことで奮起。「ショルダーマグナム」への換装を指示し、遅れて出撃したガンダムは初めての空中戦をものともせず、敵中孤立していたリュウとハヤトのガンタンクを救出し、ガルマの機甲部隊に大打撃を与える。激昂したガルマはガンダムに迫るが片翼を切り落とされ、更には通信が途絶したことで母艦であるガウ攻撃空母への帰還困難に陥る。ガルマは奇跡的に帰還するが、通信断絶がシャアによる工作だと夢想だにせず部下の失態を詰る。一方、敵に追われ続け食糧事情にも窮するホワイトベース内では避難民たちが蜂起し、フラウやカツ、レツ、キッカを人質としてブライトに下船させるよう交渉を持ちかける騒ぎになっていた。ミライはそれを利用し、「避難民の退避」を名目にガルマと一時休戦の協定を結ぶ。シャアはこれを良い機会と捉え、ホワイトベースとMS隊を分断撃破する作戦を立案。対するミライはもっと強かでシャアの作戦を逆手に取ってガンダムとガンキャノンを避難民を乗せた輸送機ガンペリーに搭載し、キャノン・タンク部隊との挟撃作戦を立案していた(ミード湖の戦闘)。挟撃作戦はおおむね成功。だが、シャアの率いるザク分隊がホワイトベースに与えた痛手も大きく、ミード湖の対岸に退避しようとしたホワイトベースは待ち構えるガルマの砲撃部隊の餌食になるところだったが、マチルダ・アジャン中尉率いるミデア輸送隊の急報で転進して難を逃れる。マチルダは補給物資と引き換えに避難民・負傷兵を受け入れる。レビルの決定はホワイトベースは引き続き正規部隊と同様の作戦行動を求めるという苛酷なものだったが、ホワイトベースは孤立無援ではなく、命掛けで輸送任務を引き受けるマチルダもいた。アムロは毅然とした女性士官であるマチルダに恋心を抱き、フラウに嫉妬される。ホワイトベースは束の間の休日を楽しめることになり、クルーたちは一部を除きバカンスを満喫する。そんな中、郷里が近いアムロは生家に残った母カマリアを訪ねる。だが、中米一帯はジオンと連邦の制圧圏が入り組んでいた。更にジャブロー司令部からホワイトベースにロサンゼルス奪還作戦の命令が下される。アムロは難民キャンプでボランティアに携わるカマリアと再会するが、ジオンのパトロール兵と交戦。アムロ救出に向かったカイ、セイラは追われるアムロを救出。一連の再会劇で息子がすっかり戦争に染まっていることを悟ったカマリアは嘆くが、アムロは母親よりも仲間たちを選ぶのだった。ロスはガルマが本拠地を置く要衝で、ロス市長エッシェンバッハは表面上はジオンに協力する体を装いその実ゲリラと連携していたが、ガルマは更に強かで、相思相愛の関係にあるエッシェンバッハの令嬢イセリナから情報を引き出し、ゲリラ活動をコントロールしていた。パーティでの逢瀬を楽しむガルマのもとにホワイトベースがロスに接近しているという知らせが来たため、ガルマはガウで、シャアはザクで出撃。その際、ホワイトベースが廃墟化したコンベンションセンターに身を隠していることをシャアは察知するが、あえてガルマには知らせず降下爆撃中のガウへ背後からホワイトベース隊の砲撃を受けさせる。ガルマは致命傷を負い、激昂して特攻を目論むも急速上昇したホワイトベースは間一髪でこれを避ける。「生まれの不幸を呪うといい」というシャアの言葉でガルマはシャアに謀られたことを悟るが時既に遅く、戦死を遂げる。ランバ・ラル編ガルマ戦死の報はジオン側では迅速に、連邦側では補給時にマチルダからブライトに内密に伝えられる。デギンの痛手は大きく感傷に浸り、ドズルは激昂する余りシャアを除隊処分とする。だが、キシリアは弟の死にシャアが関わっていると察知していた。また、ギレンはガルマを静かに弔いたいというデギンの意向を踏みにじり、国葬とすることで戦意発揚の材料に使う。国葬後、急遽、ガルシア・ロメオ少将が指揮するジャブロー攻略地上軍の視察に出たキシリアは、部下が逮捕拘束したシャアに面談する。全く悪びれず原隊復帰を要求するシャアの手土産は、連邦軍本部ジャブローへの突入口の情報だった。その頃、「ガルマの仇討ち」というドズルからの命令を受けたランバ・ラルは、新鋭艦ザンジバルで地球に降下。新型機グフを乗り熟してホワイトベースを急襲し、アムロを手玉にとる。他方、ジオンの前線基地が連邦の新型MSに急襲され陥落するという事態が進行していた。両軍がMSを実戦投入したことで、膠着状態は解消に向かう。そしてアムロ、シャアの戦いも激化していくのだった・・・。ジャブロー編オデッサ編ララァ編ソロモン編ひかる宇宙編めぐりあい宇宙編

機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦
(きどうせんしがんだむTHEORIGINVげきとつるうむかいせん
2017年9月2日
安彦良和(総監督)
サンライズ
プロローグ人類は、宇宙世紀(以下、U.C.と記す)0001より、増えすぎた地球上の人口をスペースコロニーへと移住させることで地球の人口過密状態とエネルギー問題、環境破壊問題を解決しつつあった。コロニーへと移住した人々は「棄民」と揶揄された一方、宇宙に上がることなく地球に「残り、住み続けること」は、その行為自体が特権(エリート)的行為とされ、前者をスペースノイド、後者をアースノイドと呼び分けるようになった。それぞれのコロニーは自治政府が統治する形態をとりつつも、各コロニーには連邦軍が駐留し、地球連邦を脅かすような大規模な軍隊も持つことが許されなかった。また、コロニーで生産される農産物などの産品は地球連邦への貢納を義務づけられた。U.C.0057、スペースコロニー群サイド3のムンゾ大学教授ジオン・ズム・ダイクンは連邦保安局から内乱予備罪で逮捕状が出る身で、学内自治を名目にダイクンや過激学生を匿う政治的同志、デギン・ソド・ザビ学部長の下で保護されていた。サイド3には反連邦の機運が高く深刻なテロも頻発し、学生運動も盛んだった。デギンの長子ギレン・ザビは、弟のサスロ・ザビ、ランバ・ラルらと共に、ダイクンを信奉する活動家として連邦政府からダイクンを護衛していた。ダイクンは若い頃からの政治的同志で正妻のローゼルシア・ダイクンではなく、酒場で知り合った若い歌姫で愛人のアストライア・トア・ダイクンとの間に男の子を成す。その子こそキャスバル・レム・ダイクン。後に名を変えて、ジオン軍で目覚ましい戦果をあげることになるシャア・アズナブルは、ムンゾ大学の壊れた時計塔の隠し部屋で誕生する。血生臭い時代を経て、ムンゾ自治共和国の最高責任者議長となったダイクンは「棄民の王」と讃えられ、彼が提唱した宇宙移民の中から環境に適応するための新人類誕生……通称ニュータイプの出現が予言めいた形で周知される。この学説はダイクンの名声の高まりと共に、主にスペースノイドの間に広まる。連邦の移民抑圧政策に反発する人々は、熱狂的にダイクンを支持する。シャア・セイラ編U.C.0068、独立運動の象徴たるダイクンが、議会での対連邦重要演説中に急死を遂げる。人々はダイクンの突然の死に衝撃を受け、大混乱に陥る。求心力を失った政治混乱の中、共に同志として独立運動を支えてきたデギンを戴くザビ家一派とジンバ・ラルを戴くラル家一派の政争が始まる。ダイクンの死についてザビ家は「連邦による暗殺説」を流布し、ラル家は「ザビ家による暗殺説」を流布することで人々は混乱する。キャスバルとアルテイシア・ソム・ダイクンの幼い兄妹は、父の死を理解し悲しむ暇もなく葬儀の帰路に半ば暴徒と化した群衆に囲まれるが、ランバ・ラルに保護される。これに協力したのはキシリア・ザビだった。サスロはみすみすダイクンの遺児をラル家に委ねた妹を詰問する。その後、ザビ家を乗せた車に仕掛けられた爆弾が爆発しサスロが死亡。同乗していた弟のドズル・ザビも重傷を負う。サスロの死とザビ家のマスコミ工作により世論はザビ家寄りとなり、ラル家は窮地へと追い込まれる。ランバ・ラルはラル家ではアストライア達を守りきれないと判断。ダイクンの正妻ローゼルシアを頼る。ローゼルシアはアストライア達を邸宅に迎え入れるが、実質軟禁状態となった。陰謀論に取り憑かれた父ジンバに対し現実主義者たる息子のランバ・ラルは、ザビ家の権力確立を見越してダイクンの遺児を政争から遠ざけるため、アストライアの旧友であるクラウレ・ハモンやタチ・オハラと謀り、キャスバル、アルテイシアそしてジンバを地球に逃がす算段をつける。こうして幼くして実母アストライアと引き離されたキャスバルとアルテイシアは、地球の資産家テアボロ・マスの養子としてエドワウ・マス、セイラ・マスと名を変えて育つことになる。アストライアは女の嫉妬による苛酷な意趣返しで、ダイクン邸の塔にある狭い一室に軟禁状態となり、若くして病を患い衰弱していく。サイド3の政争は情報統制に成功したザビ家の圧勝に終わり、ムンゾに残ったランバ・ラルは正に冷飯喰らいとなる。そして後のジオン公国軍の母体とされるムンゾ自治共和国防衛隊や私兵集団である保安隊を一族で押さえていたザビ家はサイド3市民を掌握する。その結果、デギンがダイクンの後継者として共和国議長となり、更に一族がジオン独立運動の正当な後継者であることを示すため国名をジオン共和国と改め、ギレン・ザビ国民運動部長主導による対連邦戦争遂行体制の整備が進められていく。独立戦争遂行を至上命題としてダイクンの遺児に執着しない長兄のギレンに対し、キシリア・ザビ親衛隊隊長はキャスバルの非凡さを知るあまり、部下たち(後のキシリア機関)を使って執拗に動向を監視する。ジンバ・ラルはエドワウにザビ家こそダイクン暗殺の首謀者だと繰り返し吹き込む。ザビ家一派が油断ならない存在だと子供心にも理解していたエドワウはそれを信じるようになる。やがてジンバは庇護者たるテアボロの了解も得ずにサイド3で工作を行おうとしたことで、ザビ家から刺客を送られ命を落とす。エドワウはどうにか刺客を退けるが、巻き添えでテアボロは重傷を負う。地球に住むこともままならなくなったテアボロは、友人であるヤシマ財閥当主シュウ・ヤシマに相談し、サイド5ルウムの観光コロニーであるテキサスコロニーに移住。そこでエドワウは自分と容姿がそっくりなシャア・アズナブルという青年と知り合い打ち解ける。その後、アストライアの早すぎる死がエドワウとセイラに伝えられる。それを境にしてエドワウはセイラも不安を覚えるほどに不敵で暴力的に豹変し、通っていたハイスクール(養父のテアボロが出資した私立学園であり、校長はテアボロの部下であるにもかかわらず)でもその才覚と意気の凄まじさを校長に怖がられ、キシリア配下の監視役が付きまとってくると襲い掛かってケンカになるがセイラが制止する。シャア青年はジオンの思想に傾倒し、ムンゾの宇宙軍士官養成学校に入学希望し、合格していた。そしてエドワウは、ルウムの学校に進学するため旅立つと言う。「キャスバルがテキサスコロニーを出る」という知らせはキシリア機関の耳に入り、謀殺が企まれる。エドワウは、ムンゾに向かおうとするシャアと同じ船に乗る体を装って謀り、エドワウとして乗船させ自分は残る。こうして本物のシャア青年は「不幸な宇宙船事故」で「エドワウ・マス」として命を落とす。全てを見越してわざと一便遅らせたエドワウは、シャア青年から奪った入学許可証でシャア・アズナブルと偽って士官養成学校に進学。ザビ家の末子たるガルマ・ザビの学友となる。初代校長はドズルが就き、式の貴賓として招かれたのは連邦宇宙軍総司令であるヨハン・イブラヒム・レビルだった。開戦編エドワウはシャアとの違いである瞳の色を誤魔化すため、眼病を理由にバイザーを着用する。ガルマとシャアはそれぞれ首席、次席で士官学校を卒業。准尉に任官する。やがて連邦政府の監視ステーションの職務怠慢が原因で隕石が食糧生産区画に衝突、食糧という貴重な資源と人命が失われる。この事故を契機にサイド3市民の反連邦感情は顕在化して大規模なデモとなり、連邦軍はこれへの治安出動を目論むが、シャアはガルマら士官学生たちを扇動し挙兵させて連邦軍駐屯地を武力制圧する。この作戦時に級友の配慮でシャアは後にお馴染みとなるマスクを受け取る。後に暁の蜂起と呼ばれるこの事件はサイド3市民から歓喜をもって迎えられ、連邦軍に衝撃が走る。ガルマは蜂起のリーダーとして、サイド3市民から英雄と祭り上げられる。ガルマの責任は溺愛するデギンの計らいで不問に付されるが、学校長であるドズルは引責辞任し、共犯者のシャアは准尉から一兵卒に落とされた上に除隊処分となる。傷心のドズルは自らを拘束した女性士官候補生のゼナ・ミアを見初めてプロポーズ。彼女と家庭を持ち、やがて長女ミネバを授かる。シャアは地球に渡り、ギアナ高地に建設中のジャブロー基地でモビルワーカーの作業員となる。シャアは既に独立戦争の切り札となる存在に気付いて、それに向けた準備を進めるのだった。やがてシャアは母国インドから連れて来られた不思議な能力を持つララァ・スンという少女と知り合う。出目を予知する能力でギャンブラーに雇われていたララァをシャアは保護し、サイド3に送る。圧倒的な戦力を保持する連邦軍を相手に独立を勝ち取るには、革新的な戦術とそれを可能にする兵器とが必要だった。サイド3の科学者トレノフ・Y・ミノフスキーはレーダー波に干渉し、ミサイル等の誘導兵器を無効化するミノフスキー粒子を発見・実用化にこぎつける。粒子散布下においては事実上目視に頼る近接戦闘を余儀なくされ、そのための兵器として作業用のモビル・ワーカーを軍用化したモビル・スーツ(MS)をミノフスキー博士が技術顧問を務めるジオニック社が開発することになる。士官学校校長の傍らドズルは開発計画に携わることになり、不遇を託つランバ・ラルの抜擢を思いつく。ラルは後に黒い三連星と呼ばれることになるガイア、マッシュ、オルテガと共にテストパイロットとしてモビルスーツの実用化実験に参加する。ギレンは視察して兵器としての実用性を疑い予算カットを宣告するが、ミノフスキー博士の言葉で考えを改める。そして、表向きは存在しないダークコロニーにて行われる民間船舶の軍用艦化作業と並行し、モビルスーツの開発にも成功する。地球から帰還したシャアは地球でのモビルワーカー操縦経験と元下士官という肩書きでドズルに接近し、ラルや三連星に遅れて合流する。一方、連邦側でもジオンが行うモビルスーツ開発計画は察知していた。アナハイム・エレクトロニクスのモビルスーツ開発部門にあたるRX計画担当技術社員であり、ミノフスキーの弟子テム・レイ部長は既にMSガンキャノンを開発し、連邦軍は月面基地に先行配備していた。やがて、軍事大国化していくジオンへの危機感を抱いたミノフスキーは、ジオンと袂を分かち連邦へ亡命することを決意する。博士の亡命を巡りキシリアも暗躍。この際に行われた史上初のモビルスーツ戦である月面スミス海の戦闘において、シャア、ラル、三連星の5人が搭乗するプロトタイプザクは圧倒的な機動性能を誇り、僅か5機で連邦のガンキャノン部隊12機を壊滅に追い込み、亡命に失敗したミノフスキー博士は死亡。テム・レイが手がけたガンキャノンは完膚なきまでに叩き潰されたものの、この戦闘を教訓として機動性能と火力を併せ持った新型機の構想を力説。これに応じた連邦軍制服組のトップであるゴップ大将は試作機開発に計画段階で頓挫しているサイド7の使用許可を出す。こうして本作の主役機となるガンダム開発計画(V作戦)は始動した。テム・レイは妻のカマリアを地球に残し、一人息子のアムロ・レイを連れてサイド7に移住する。他方、シュウ・ヤシマは投機対象であるコロニー建設計画が遅々としている現状に業を煮やし、才媛として父の期待を受け秘書がわりの娘ミライ・ヤシマを連れ現場であるサイド7に移住する。軍事機密保持のため、民生用に偽装しているサイド7には彼らの他にも民間人が移住。アムロはお節介焼きの隣人フラウ・ボゥや、柔道少年のハヤト・コバヤシ、コンボイレーサーで不良少年のカイ・シデンらと知り合う。カイたちはハヤトや渋るアムロも連れ、建設中とされる区画に潜入。そこが軍用区画として使用され、アムロが軍属の子(厳密には誤解であるが、父のテムレイ博士がガンダム開発で軍に貢献していたため優遇を受ける)で自分たち純粋な民間人とは違うと見せつけられる。ルウム編U.C.0079、デギン議長は公国制を敷き、ジオン公国と改称し、自身は公王を名乗ることで旧ムンゾ共和国におけるザビ家の事実上の世襲支配を宣言。総帥職に就いたギレンは新生ジオン公国の全権を握り、地球連邦への宣戦を布告。その手始めに、反ジオンのスペースコロニー共和国群の制圧に取り掛かる。まず、抵抗するサイド2ハッテ自治共和国の首都島アイランド・イフィッシュの市民を毒ガスにより虐殺し、その多くの市民の死体を乗せたコロニー自体を連邦側の軍機関の中枢ジャブローに向けて落下させるブリティッシュ作戦を実施する。連邦軍の迎撃を受けて3つに分裂したコロニーは当初の目標を外れるも地球の主要都市などに落下し、結果として地球総人口の約半数を葬り去る。ジオン独立戦争の余波はテキサスコロニーにも及んでいた。反ジオン派の市民たちは暴徒と化し、マス家を襲撃。テアボロは心労が祟り命を落とし、セイラは自ら銃を取って防戦に努める。その少し前、ルウムで極秘裏にセイラに接触したタチは死んだ筈のキャスバルがシャア・アズナブルとして生きていることを示唆。セイラは養父の人脈であるヤシマ家を頼り中立コロニーであるサイド7に赴くことになる。次なる標的とされたサイド5ルウム自治共和国近郊での艦隊決戦ルウム戦役において、御前会議の情報をレビルにリークするという手段で連邦軍を欺き、ドズル中将の指揮する主力艦隊は、おとりの艦隊を犠牲にした戦略とモビルスーツを巧みに利用した戦術により大勝し、三連星の働きで連邦宇宙軍総司令官レビルを捕虜とすることに成功する。この戦いでシャアは抜群の功績を挙げ赤い彗星と称されるようになる。連邦とジオンの間で事実上の講和会議である南極条約締結交渉が行われる。先のコロニー落としが全地球に及ぼした甚大な被害と、ルウム戦役の戦果を背景としたジオン優位の講和会議にキシリアは戦争推進派で地球通のマ・クベ中将を全権大使として送り込む。一方、和平を期待するデギン公王は密かに拘留中のレビルと接触し、連邦軍内での和平工作に協力を要請して、彼を逃がす算段をつける。だが、レビルはエルラン中将の働きかけでムンゾを脱出。南極で講和条約締結が成ろうかとしている矢先に、連邦側に戻ったレビルは戦争の継続を主張する大演説『ジオンに兵なし』を行い、連敗続きの連邦軍を鼓舞。講和は事実上反故となり、南極条約はあくまで「戦時協定」となり、双方は星間戦争 (interstellar conflict) の継続を選択する。南極条約締結後、制宙権の大半を握ったジオン公国側はマ・クベを総司令官とする地球侵攻部隊を降下させ、地球攻略戦を開始する。しかし急速に戦線が拡大するなかで、国力に乏しいジオン公国軍は地球圏での情勢に即応した対応が取れないまま、戦争は膠着状態へと陥る。このような戦局の中、モビルスーツの戦術上の重要性に直面した連邦軍側はサイド7での新型機開発計画を推進。MS運用母艦であるペガサス級巡洋艦の就航に漕ぎ着ける。艦長は予備役に退いていた老将パオロ・カシアス。若く未熟なクルーたちを従え、ジャブローからサイド7に帰還するテム・レイを乗艦させ、新型機受領のためペガサス級一番艦、通称ホワイトベースは「民生輸送艦」を装い連邦軍本部ジャブロー基地から出航する。しかし、そうした連邦側の動きはドズルに察知されていた。ドズルはルウムでの破格の働きで佐官に昇格していたシャアにムサイ級最新鋭艦ファルメルを与え、調査任務に送り出す。始動編開戦後もサイド7は中立地帯としてのどかなものだった。ところが、ホワイトベースを追尾するシャアはサイド7が中立とは名ばかりのV作戦の中枢と見なし、6機のザクを強行偵察任務に投入する。実戦配備直前の試作機としてコロニー外で応戦したヴェルツ大尉のガンダム1号機はザク部隊と交戦し、3機のザクと事実上の相討ちとなる。スレンダーはシャアの命令に従って待機の後、報告のため帰還。だが手柄を焦り暴走した新兵ジーンはサイド7内に突入し、無差別攻撃を敢行する。アムロもフラウに促されて避難するが、フラウの家族は爆死。フラウに避難を促しつつ、民間人にも容赦無く牙を剝くジオン軍に激怒したアムロは父のコンピューターで盗み見していた搬出作業中のガンダム2号機に搭乗し、ジーンのザクを撃破。続いてデニム伍長のザクも返り討ちで仕留める。一度の作戦で5機のザクを失ったシャアは「若さ故の過ち」として反省する。パオロはブライト・ノア中尉に指揮を代行させ、リュウ・ホセイ軍曹と共に自ら突撃艇を指揮してファルメルを攻撃するが反撃で重傷を負う。サイド7はザクの熱核融合炉爆発で外部への空気流出が深刻化し、放棄を余儀なくされる。またホワイトベースの正規クルーは迎撃戦で甚大な被害を出し、ガンダム2号機のテストパイロットであるケンプ中尉も戦死。開発責任者のテムも死亡という有様だった。やむなく、ミライが操舵手を担当することになり、迎撃戦で活躍したガンダム2号機も“現状維持”でアムロに扱わせることになる。そうした事態に苦悩するブライトにアムロは反感を抱き、カイやハヤトは自分たちを救ったガンダムのパイロットがアムロだと知って民兵に志願。運悪く戦闘に巻き込まれたセイラは避難民を誘導しつつ、医師の卵やオペレーターとして重宝される。激闘編ホワイトベースが素人だらけの状況下にも拘わらずシャアは艦隊戦を展開させた後、自らザクで出撃。シャアとの遭遇戦でアムロは未熟さを露呈しほぼ完敗するも、スレンダー機を撃墜して撤退に追い込む。連邦軍唯一の宇宙基地であるルナツーへ退避すべき状況で、ミライはシャアが手持ちの戦力に苦慮していると見抜き、補給阻止作戦を提案。ブライトはガンダムを作戦に投入させようとするもアムロが拒否。やむなくリュウが率いるガンタンク・ガンキャノン部隊での作戦実施となる。作戦はほぼ成功。ガデムとの交戦で損傷したカイのガンキャノンを除いてほぼ無傷でパプア級輸送艦を撃沈し、ファルメル撃沈も寸前となるがルナツー所属マゼラン級戦艦の妨害に遭い断念する。ルナツーの司令官ワッケイン少将は一切の弁明を認めず、機密兵器の無断使用などの軍規違反でブライトらを拘束する。一方、シャアもやられっぱなしでは済ませず自ら白兵隊を率いてルナツーに潜入。シャアの部隊の工作で宇宙港は封鎖され、停電の混乱に乗じてブライトらは脱出。シャアの到来を予期したセイラとアムロは武器を手に応戦に臨む。混乱に乗じてガンダムのデータ奪取を図るシャアだったがセイラに発見される。セイラの要請で仮面を取ったシャアの素顔にセイラは動揺。その隙に反撃し、逃走を図ろうというシャアにアムロも発砲される。結局、シャアの工作でルナツーは戦闘不能に陥った上に撤退を許し、補給阻止作戦から帰還したリュウたちは宇宙港を塞ぐ形で座礁したマゼランの撤去作業を行うことになる。そんな中、教え子であるワッケインとの面談中にパオロ艦長は永眠。若者たちに未来を託し、宇宙葬にふされる。避難民の受け入れも本人達の希望で断念し、追われるようにルナツーを出航したホワイトベースはリード大尉のサラミス級巡洋艦に先導されジャブローに向けて発艦。だが、ミライは補給を受けたシャアの追撃を警戒していた。案の定、シャアは常識外の大気圏付近での戦闘に及び、迎撃戦にガンダムを投入せざるを得ない状況となる。アムロはシャアとの二度目のMS戦に臨み奮闘するも帰還困難に陥る。シャアは先の補給で受領していた「ダブルコム」で大気圏に突入。クラウンのザク一機と引き換えにガンダムを大気圏の藻屑にしたかに見えたが、ガンダムはホワイトベース甲板に取り付いて難を逃れる。だが、シャアとの交戦で座標が狂い、ホワイトベースはジオン制圧下の北米大陸に降下してしまう。ガルマ編北米司令官に就くガルマ大佐はシャアと再会して快く迎え入れる。シャアに鼓舞され、自らドップを駆って出撃したガルマだったが、手負いのホワイトベースの思わぬ抵抗に遭う。一方、アムロは大気圏外で孤立させられた恐怖から出撃を拒否するが、ブライトから殴打された後に叱咤され、更にはフラウが出撃すると言い出したことで奮起。「ショルダーマグナム」への換装を指示し、遅れて出撃したガンダムは初めての空中戦をものともせず、敵中孤立していたリュウとハヤトのガンタンクを救出し、ガルマの機甲部隊に大打撃を与える。激昂したガルマはガンダムに迫るが片翼を切り落とされ、更には通信が途絶したことで母艦であるガウ攻撃空母への帰還困難に陥る。ガルマは奇跡的に帰還するが、通信断絶がシャアによる工作だと夢想だにせず部下の失態を詰る。一方、敵に追われ続け食糧事情にも窮するホワイトベース内では避難民たちが蜂起し、フラウやカツ、レツ、キッカを人質としてブライトに下船させるよう交渉を持ちかける騒ぎになっていた。ミライはそれを利用し、「避難民の退避」を名目にガルマと一時休戦の協定を結ぶ。シャアはこれを良い機会と捉え、ホワイトベースとMS隊を分断撃破する作戦を立案。対するミライはもっと強かでシャアの作戦を逆手に取ってガンダムとガンキャノンを避難民を乗せた輸送機ガンペリーに搭載し、キャノン・タンク部隊との挟撃作戦を立案していた(ミード湖の戦闘)。挟撃作戦はおおむね成功。だが、シャアの率いるザク分隊がホワイトベースに与えた痛手も大きく、ミード湖の対岸に退避しようとしたホワイトベースは待ち構えるガルマの砲撃部隊の餌食になるところだったが、マチルダ・アジャン中尉率いるミデア輸送隊の急報で転進して難を逃れる。マチルダは補給物資と引き換えに避難民・負傷兵を受け入れる。レビルの決定はホワイトベースは引き続き正規部隊と同様の作戦行動を求めるという苛酷なものだったが、ホワイトベースは孤立無援ではなく、命掛けで輸送任務を引き受けるマチルダもいた。アムロは毅然とした女性士官であるマチルダに恋心を抱き、フラウに嫉妬される。ホワイトベースは束の間の休日を楽しめることになり、クルーたちは一部を除きバカンスを満喫する。そんな中、郷里が近いアムロは生家に残った母カマリアを訪ねる。だが、中米一帯はジオンと連邦の制圧圏が入り組んでいた。更にジャブロー司令部からホワイトベースにロサンゼルス奪還作戦の命令が下される。アムロは難民キャンプでボランティアに携わるカマリアと再会するが、ジオンのパトロール兵と交戦。アムロ救出に向かったカイ、セイラは追われるアムロを救出。一連の再会劇で息子がすっかり戦争に染まっていることを悟ったカマリアは嘆くが、アムロは母親よりも仲間たちを選ぶのだった。ロスはガルマが本拠地を置く要衝で、ロス市長エッシェンバッハは表面上はジオンに協力する体を装いその実ゲリラと連携していたが、ガルマは更に強かで、相思相愛の関係にあるエッシェンバッハの令嬢イセリナから情報を引き出し、ゲリラ活動をコントロールしていた。パーティでの逢瀬を楽しむガルマのもとにホワイトベースがロスに接近しているという知らせが来たため、ガルマはガウで、シャアはザクで出撃。その際、ホワイトベースが廃墟化したコンベンションセンターに身を隠していることをシャアは察知するが、あえてガルマには知らせず降下爆撃中のガウへ背後からホワイトベース隊の砲撃を受けさせる。ガルマは致命傷を負い、激昂して特攻を目論むも急速上昇したホワイトベースは間一髪でこれを避ける。「生まれの不幸を呪うといい」というシャアの言葉でガルマはシャアに謀られたことを悟るが時既に遅く、戦死を遂げる。ランバ・ラル編ガルマ戦死の報はジオン側では迅速に、連邦側では補給時にマチルダからブライトに内密に伝えられる。デギンの痛手は大きく感傷に浸り、ドズルは激昂する余りシャアを除隊処分とする。だが、キシリアは弟の死にシャアが関わっていると察知していた。また、ギレンはガルマを静かに弔いたいというデギンの意向を踏みにじり、国葬とすることで戦意発揚の材料に使う。国葬後、急遽、ガルシア・ロメオ少将が指揮するジャブロー攻略地上軍の視察に出たキシリアは、部下が逮捕拘束したシャアに面談する。全く悪びれず原隊復帰を要求するシャアの手土産は、連邦軍本部ジャブローへの突入口の情報だった。その頃、「ガルマの仇討ち」というドズルからの命令を受けたランバ・ラルは、新鋭艦ザンジバルで地球に降下。新型機グフを乗り熟してホワイトベースを急襲し、アムロを手玉にとる。他方、ジオンの前線基地が連邦の新型MSに急襲され陥落するという事態が進行していた。両軍がMSを実戦投入したことで、膠着状態は解消に向かう。そしてアムロ、シャアの戦いも激化していくのだった・・・。ジャブロー編オデッサ編ララァ編ソロモン編ひかる宇宙編めぐりあい宇宙編

機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER
(きどうせんしがんだむさんだーぼるとBANDITFLOWER
2017年11月18日
松尾衡
サンライズ
本編第1部 宇宙編(本編第1話 - 第32話)宇宙世紀0079年12月、一年戦争末期。ジオン公国軍の拠点はア・バオア・クーを残すのみとなっていた。地球連邦軍はジオンにとって重要な補給路である「サンダーボルト宙域」の制宙権を奪還すべく幾度もMS部隊を派遣するが、スナイパーMS部隊「リビング・デッド師団」によってことごとく退けられていた。一方、連邦内の旧サイド4「ムーア」の再興を悲願とする一団「ムーア同胞団」も、連邦への貢献度を示すことを目的に艦隊を派遣する。スペース・コロニーの残骸が散乱する宙域で、ムーア同胞団の敏腕MSパイロットイオ・フレミングと、リビング・デッド師団の義足のスナイパーダリル・ローレンツは宿命的な出会いを果たす。イオは強力無比な武装や装甲を追加した最新鋭MS「フルアーマーガンダム」、ダリルはリユース・サイコ・デバイス(以下「RPD」)を装備した実験MS「サイコ・ザク」に搭乗する。イオはリビングデッド師団を、ダリルはムーア同胞団を壊滅せしめ、ついに彼らは交戦する。死闘の末に双方の機体は行動不能となり、艦隊も壊滅したところでジオン軍「セイレーン機動艦隊」が到着する。イオらムーア同胞団の生存者たちは捕虜となるが、ア・バオア・クー戦の混乱に乗じて脱出に成功し、終戦を迎える。第2部 地球編(本編第33話 - 132話)一年戦争終結から7か月が経過した宇宙世紀0080年7月。戦後の混乱・貧困と連邦の支配力低下をきっかけとして、極東からインド洋・中東周辺地域を勢力圏とする「南洋同盟」は連邦からの独立と宗教国家建設を目論み、極秘にRPDの開発を継続していた。連邦軍参謀本部のモニカ・ハンフリー大佐は、単機で艦隊を潰滅させたRPDを戦局を一変させ得る脅威として、これを奪取・破壊する「サンダーボルト作戦」を発令。ペガサス級強襲揚陸艦「スパルタン」は作戦に参加するために地球へ降下する。一方、元セイレーン機動艦隊のクライバー将軍らジオン残党軍も、ジオン再興のためRPDの開発データ奪取を目論み、南洋同盟へ部隊を派遣する。そこにはイオとダリル、そして連邦軍の新型MS「アトラスガンダム」の姿があった。スパルタンは南洋同盟MS部隊の攻撃を受け、イオは行方不明だったクローディアが南洋同盟の指揮官として敵対していることを知る。南洋同盟の海上都市リグに潜入したダリルらは、指導者にしてニュータイプであるレヴァン・フウの意思と接触し、その志を知る。そしてジオン軍のままでは、例えカーラが回復しても再び怪物の母として望まぬことを強いられることと、自分の望みが再びサイコ・ザクに乗ることであることを自覚したダリルは、ジオン残党軍を見限って殲滅するとカーラたちと共に南洋同盟へ帰順し、サイコ・ザクの製造拠点であるタール火山基地にてその生産の仕上げを行う。フウは、全世界規模の死の商人でもある巨大企業「アナハイム・エレクトロニクス」を討つべく、量産したサイコ・ザクで旧ジオン軍が開発したコロニーレーザー「ソーラ・レイ」を奪取する作戦を発動し、宇宙への撤退を始める。そこをスパルタンが強襲し、サイコ・ザクの試作機を駆るダリルとイオの戦いは地下基地内までおよぶ。試作機が限界を超えて決着がつきかけるが、クローディアらによって組み上がったサイコ・ザク・マーク2が届けられた結果、イオはダリルを守ろうとするクローディアを手にかけてしまう。そのショックでイオは戦闘不能となり、サイコ・ザク・マーク2に乗り換えたダリルは、シャトルの打ち上げをサポートするためにスパルタンを撃沈する。タール島での戦いが終わり、敵も味方も次の戦場に向かって動き始める。宇宙に上がる手段を求めてジオン残党から弾き出されたヨハン・ガレに協力するダリル。戦いには間に合わず、ドミトリーやビリーを連れて脱出しダリル同様に宇宙を目指すカウフマン。そしてフウと共に宇宙拠点に向かったカーラたちは秘匿されていた「ビグ・ザム」に驚愕する。そして沈むスパルタンから脱出したクルーは少なくない犠牲を経て任務を達成するべく再出発する。第3部 新宇宙編(本編第133話 -)外伝単発エピソードについては#単発エピソードの登場人物を参照。砂鼠ショーン一年戦争終結から3か月が経過した宇宙世紀0080年前半。ダリルの戦友だったショーン・ミタデラは、地球のアフリカ大陸の砂漠にてジャンク屋集団「砂鼠」の用心棒として生きていた。やがて、連邦軍崩れの強盗団「砂漠の鷹旅団」との激戦に勝利したショーンらは、「砂漠の鷹旅団」から助けた後に自分たちを助けてくれた連邦軍女性パイロットのモニカを、「砂鼠」へ迎え入れる。砂漠の掟(外伝第15話 - 第22話)ガンダムバウンサーを駆る女用心棒ファルコン・モニカとして「砂鼠」から離れて久しいモニカは、絶命寸前の男性から龍骨街のロレンツォ・ファミーリアに奪われた積荷を取り返す依頼を受ける。モニカが向かったそこは砂漠のオアシスにして闇のマーケットであり、オークションに出品されたビッグガンに着目するショーンの姿もあった。乱入したショーンによるビッグガンの誤射やそれによる混乱を経て、モニカは依頼を達成する。

機動戦士ガンダム Twilight AXIS 赤き残影
(きどうせんしがんだむTwilightAXISあかきざんえい
2017年11月18日
金世俊
サンライズ
「ラプラス事変」と呼ばれた宇宙世紀憲章をめぐる戦いが終結し、数か月が経過した宇宙世紀0096年。既存の兵器体系を根本から覆す性能を示したサイコフレームを改めて脅威と認識した地球連邦政府は、サイコフレームの調査のために第二次ネオ・ジオン抗争で廃墟となった小惑星アクシズへ特殊部隊マスティマを派遣する。ジオン公国出身のアルレット・アルマージュとダントン・ハイレッグは、マスティマの道案内を依頼されアクシズに潜入するが、そこでブッホ・ジャンク社の私兵武装集団バーナムと遭遇する。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星
(きどうせんしがんだむTHEORIGINたんじょうあかいすいせい
2018年5月5日
安彦良和(総監督)
サンライズ
プロローグ人類は、宇宙世紀(以下、U.C.と記す)0001より、増えすぎた地球上の人口をスペースコロニーへと移住させることで地球の人口過密状態とエネルギー問題、環境破壊問題を解決しつつあった。コロニーへと移住した人々は「棄民」と揶揄された一方、宇宙に上がることなく地球に「残り、住み続けること」は、その行為自体が特権(エリート)的行為とされ、前者をスペースノイド、後者をアースノイドと呼び分けるようになった。それぞれのコロニーは自治政府が統治する形態をとりつつも、各コロニーには連邦軍が駐留し、地球連邦を脅かすような大規模な軍隊も持つことが許されなかった。また、コロニーで生産される農産物などの産品は地球連邦への貢納を義務づけられた。U.C.0057、スペースコロニー群サイド3のムンゾ大学教授ジオン・ズム・ダイクンは連邦保安局から内乱予備罪で逮捕状が出る身で、学内自治を名目にダイクンや過激学生を匿う政治的同志、デギン・ソド・ザビ学部長の下で保護されていた。サイド3には反連邦の機運が高く深刻なテロも頻発し、学生運動も盛んだった。デギンの長子ギレン・ザビは、弟のサスロ・ザビ、ランバ・ラルらと共に、ダイクンを信奉する活動家として連邦政府からダイクンを護衛していた。ダイクンは若い頃からの政治的同志で正妻のローゼルシア・ダイクンではなく、酒場で知り合った若い歌姫で愛人のアストライア・トア・ダイクンとの間に男の子を成す。その子こそキャスバル・レム・ダイクン。後に名を変えて、ジオン軍で目覚ましい戦果をあげることになるシャア・アズナブルは、ムンゾ大学の壊れた時計塔の隠し部屋で誕生する。血生臭い時代を経て、ムンゾ自治共和国の最高責任者議長となったダイクンは「棄民の王」と讃えられ、彼が提唱した宇宙移民の中から環境に適応するための新人類誕生……通称ニュータイプの出現が予言めいた形で周知される。この学説はダイクンの名声の高まりと共に、主にスペースノイドの間に広まる。連邦の移民抑圧政策に反発する人々は、熱狂的にダイクンを支持する。シャア・セイラ編U.C.0068、独立運動の象徴たるダイクンが、議会での対連邦重要演説中に急死を遂げる。人々はダイクンの突然の死に衝撃を受け、大混乱に陥る。求心力を失った政治混乱の中、共に同志として独立運動を支えてきたデギンを戴くザビ家一派とジンバ・ラルを戴くラル家一派の政争が始まる。ダイクンの死についてザビ家は「連邦による暗殺説」を流布し、ラル家は「ザビ家による暗殺説」を流布することで人々は混乱する。キャスバルとアルテイシア・ソム・ダイクンの幼い兄妹は、父の死を理解し悲しむ暇もなく葬儀の帰路に半ば暴徒と化した群衆に囲まれるが、ランバ・ラルに保護される。これに協力したのはキシリア・ザビだった。サスロはみすみすダイクンの遺児をラル家に委ねた妹を詰問する。その後、ザビ家を乗せた車に仕掛けられた爆弾が爆発しサスロが死亡。同乗していた弟のドズル・ザビも重傷を負う。サスロの死とザビ家のマスコミ工作により世論はザビ家寄りとなり、ラル家は窮地へと追い込まれる。ランバ・ラルはラル家ではアストライア達を守りきれないと判断。ダイクンの正妻ローゼルシアを頼る。ローゼルシアはアストライア達を邸宅に迎え入れるが、実質軟禁状態となった。陰謀論に取り憑かれた父ジンバに対し現実主義者たる息子のランバ・ラルは、ザビ家の権力確立を見越してダイクンの遺児を政争から遠ざけるため、アストライアの旧友であるクラウレ・ハモンやタチ・オハラと謀り、キャスバル、アルテイシアそしてジンバを地球に逃がす算段をつける。こうして幼くして実母アストライアと引き離されたキャスバルとアルテイシアは、地球の資産家テアボロ・マスの養子としてエドワウ・マス、セイラ・マスと名を変えて育つことになる。アストライアは女の嫉妬による苛酷な意趣返しで、ダイクン邸の塔にある狭い一室に軟禁状態となり、若くして病を患い衰弱していく。サイド3の政争は情報統制に成功したザビ家の圧勝に終わり、ムンゾに残ったランバ・ラルは正に冷飯喰らいとなる。そして後のジオン公国軍の母体とされるムンゾ自治共和国防衛隊や私兵集団である保安隊を一族で押さえていたザビ家はサイド3市民を掌握する。その結果、デギンがダイクンの後継者として共和国議長となり、更に一族がジオン独立運動の正当な後継者であることを示すため国名をジオン共和国と改め、ギレン・ザビ国民運動部長主導による対連邦戦争遂行体制の整備が進められていく。独立戦争遂行を至上命題としてダイクンの遺児に執着しない長兄のギレンに対し、キシリア・ザビ親衛隊隊長はキャスバルの非凡さを知るあまり、部下たち(後のキシリア機関)を使って執拗に動向を監視する。ジンバ・ラルはエドワウにザビ家こそダイクン暗殺の首謀者だと繰り返し吹き込む。ザビ家一派が油断ならない存在だと子供心にも理解していたエドワウはそれを信じるようになる。やがてジンバは庇護者たるテアボロの了解も得ずにサイド3で工作を行おうとしたことで、ザビ家から刺客を送られ命を落とす。エドワウはどうにか刺客を退けるが、巻き添えでテアボロは重傷を負う。地球に住むこともままならなくなったテアボロは、友人であるヤシマ財閥当主シュウ・ヤシマに相談し、サイド5ルウムの観光コロニーであるテキサスコロニーに移住。そこでエドワウは自分と容姿がそっくりなシャア・アズナブルという青年と知り合い打ち解ける。その後、アストライアの早すぎる死がエドワウとセイラに伝えられる。それを境にしてエドワウはセイラも不安を覚えるほどに不敵で暴力的に豹変し、通っていたハイスクール(養父のテアボロが出資した私立学園であり、校長はテアボロの部下であるにもかかわらず)でもその才覚と意気の凄まじさを校長に怖がられ、キシリア配下の監視役が付きまとってくると襲い掛かってケンカになるがセイラが制止する。シャア青年はジオンの思想に傾倒し、ムンゾの宇宙軍士官養成学校に入学希望し、合格していた。そしてエドワウは、ルウムの学校に進学するため旅立つと言う。「キャスバルがテキサスコロニーを出る」という知らせはキシリア機関の耳に入り、謀殺が企まれる。エドワウは、ムンゾに向かおうとするシャアと同じ船に乗る体を装って謀り、エドワウとして乗船させ自分は残る。こうして本物のシャア青年は「不幸な宇宙船事故」で「エドワウ・マス」として命を落とす。全てを見越してわざと一便遅らせたエドワウは、シャア青年から奪った入学許可証でシャア・アズナブルと偽って士官養成学校に進学。ザビ家の末子たるガルマ・ザビの学友となる。初代校長はドズルが就き、式の貴賓として招かれたのは連邦宇宙軍総司令であるヨハン・イブラヒム・レビルだった。開戦編エドワウはシャアとの違いである瞳の色を誤魔化すため、眼病を理由にバイザーを着用する。ガルマとシャアはそれぞれ首席、次席で士官学校を卒業。准尉に任官する。やがて連邦政府の監視ステーションの職務怠慢が原因で隕石が食糧生産区画に衝突、食糧という貴重な資源と人命が失われる。この事故を契機にサイド3市民の反連邦感情は顕在化して大規模なデモとなり、連邦軍はこれへの治安出動を目論むが、シャアはガルマら士官学生たちを扇動し挙兵させて連邦軍駐屯地を武力制圧する。この作戦時に級友の配慮でシャアは後にお馴染みとなるマスクを受け取る。後に暁の蜂起と呼ばれるこの事件はサイド3市民から歓喜をもって迎えられ、連邦軍に衝撃が走る。ガルマは蜂起のリーダーとして、サイド3市民から英雄と祭り上げられる。ガルマの責任は溺愛するデギンの計らいで不問に付されるが、学校長であるドズルは引責辞任し、共犯者のシャアは准尉から一兵卒に落とされた上に除隊処分となる。傷心のドズルは自らを拘束した女性士官候補生のゼナ・ミアを見初めてプロポーズ。彼女と家庭を持ち、やがて長女ミネバを授かる。シャアは地球に渡り、ギアナ高地に建設中のジャブロー基地でモビルワーカーの作業員となる。シャアは既に独立戦争の切り札となる存在に気付いて、それに向けた準備を進めるのだった。やがてシャアは母国インドから連れて来られた不思議な能力を持つララァ・スンという少女と知り合う。出目を予知する能力でギャンブラーに雇われていたララァをシャアは保護し、サイド3に送る。圧倒的な戦力を保持する連邦軍を相手に独立を勝ち取るには、革新的な戦術とそれを可能にする兵器とが必要だった。サイド3の科学者トレノフ・Y・ミノフスキーはレーダー波に干渉し、ミサイル等の誘導兵器を無効化するミノフスキー粒子を発見・実用化にこぎつける。粒子散布下においては事実上目視に頼る近接戦闘を余儀なくされ、そのための兵器として作業用のモビル・ワーカーを軍用化したモビル・スーツ(MS)をミノフスキー博士が技術顧問を務めるジオニック社が開発することになる。士官学校校長の傍らドズルは開発計画に携わることになり、不遇を託つランバ・ラルの抜擢を思いつく。ラルは後に黒い三連星と呼ばれることになるガイア、マッシュ、オルテガと共にテストパイロットとしてモビルスーツの実用化実験に参加する。ギレンは視察して兵器としての実用性を疑い予算カットを宣告するが、ミノフスキー博士の言葉で考えを改める。そして、表向きは存在しないダークコロニーにて行われる民間船舶の軍用艦化作業と並行し、モビルスーツの開発にも成功する。地球から帰還したシャアは地球でのモビルワーカー操縦経験と元下士官という肩書きでドズルに接近し、ラルや三連星に遅れて合流する。一方、連邦側でもジオンが行うモビルスーツ開発計画は察知していた。アナハイム・エレクトロニクスのモビルスーツ開発部門にあたるRX計画担当技術社員であり、ミノフスキーの弟子テム・レイ部長は既にMSガンキャノンを開発し、連邦軍は月面基地に先行配備していた。やがて、軍事大国化していくジオンへの危機感を抱いたミノフスキーは、ジオンと袂を分かち連邦へ亡命することを決意する。博士の亡命を巡りキシリアも暗躍。この際に行われた史上初のモビルスーツ戦である月面スミス海の戦闘において、シャア、ラル、三連星の5人が搭乗するプロトタイプザクは圧倒的な機動性能を誇り、僅か5機で連邦のガンキャノン部隊12機を壊滅に追い込み、亡命に失敗したミノフスキー博士は死亡。テム・レイが手がけたガンキャノンは完膚なきまでに叩き潰されたものの、この戦闘を教訓として機動性能と火力を併せ持った新型機の構想を力説。これに応じた連邦軍制服組のトップであるゴップ大将は試作機開発に計画段階で頓挫しているサイド7の使用許可を出す。こうして本作の主役機となるガンダム開発計画(V作戦)は始動した。テム・レイは妻のカマリアを地球に残し、一人息子のアムロ・レイを連れてサイド7に移住する。他方、シュウ・ヤシマは投機対象であるコロニー建設計画が遅々としている現状に業を煮やし、才媛として父の期待を受け秘書がわりの娘ミライ・ヤシマを連れ現場であるサイド7に移住する。軍事機密保持のため、民生用に偽装しているサイド7には彼らの他にも民間人が移住。アムロはお節介焼きの隣人フラウ・ボゥや、柔道少年のハヤト・コバヤシ、コンボイレーサーで不良少年のカイ・シデンらと知り合う。カイたちはハヤトや渋るアムロも連れ、建設中とされる区画に潜入。そこが軍用区画として使用され、アムロが軍属の子(厳密には誤解であるが、父のテムレイ博士がガンダム開発で軍に貢献していたため優遇を受ける)で自分たち純粋な民間人とは違うと見せつけられる。ルウム編U.C.0079、デギン議長は公国制を敷き、ジオン公国と改称し、自身は公王を名乗ることで旧ムンゾ共和国におけるザビ家の事実上の世襲支配を宣言。総帥職に就いたギレンは新生ジオン公国の全権を握り、地球連邦への宣戦を布告。その手始めに、反ジオンのスペースコロニー共和国群の制圧に取り掛かる。まず、抵抗するサイド2ハッテ自治共和国の首都島アイランド・イフィッシュの市民を毒ガスにより虐殺し、その多くの市民の死体を乗せたコロニー自体を連邦側の軍機関の中枢ジャブローに向けて落下させるブリティッシュ作戦を実施する。連邦軍の迎撃を受けて3つに分裂したコロニーは当初の目標を外れるも地球の主要都市などに落下し、結果として地球総人口の約半数を葬り去る。ジオン独立戦争の余波はテキサスコロニーにも及んでいた。反ジオン派の市民たちは暴徒と化し、マス家を襲撃。テアボロは心労が祟り命を落とし、セイラは自ら銃を取って防戦に努める。その少し前、ルウムで極秘裏にセイラに接触したタチは死んだ筈のキャスバルがシャア・アズナブルとして生きていることを示唆。セイラは養父の人脈であるヤシマ家を頼り中立コロニーであるサイド7に赴くことになる。次なる標的とされたサイド5ルウム自治共和国近郊での艦隊決戦ルウム戦役において、御前会議の情報をレビルにリークするという手段で連邦軍を欺き、ドズル中将の指揮する主力艦隊は、おとりの艦隊を犠牲にした戦略とモビルスーツを巧みに利用した戦術により大勝し、三連星の働きで連邦宇宙軍総司令官レビルを捕虜とすることに成功する。この戦いでシャアは抜群の功績を挙げ赤い彗星と称されるようになる。連邦とジオンの間で事実上の講和会議である南極条約締結交渉が行われる。先のコロニー落としが全地球に及ぼした甚大な被害と、ルウム戦役の戦果を背景としたジオン優位の講和会議にキシリアは戦争推進派で地球通のマ・クベ中将を全権大使として送り込む。一方、和平を期待するデギン公王は密かに拘留中のレビルと接触し、連邦軍内での和平工作に協力を要請して、彼を逃がす算段をつける。だが、レビルはエルラン中将の働きかけでムンゾを脱出。南極で講和条約締結が成ろうかとしている矢先に、連邦側に戻ったレビルは戦争の継続を主張する大演説『ジオンに兵なし』を行い、連敗続きの連邦軍を鼓舞。講和は事実上反故となり、南極条約はあくまで「戦時協定」となり、双方は星間戦争 (interstellar conflict) の継続を選択する。南極条約締結後、制宙権の大半を握ったジオン公国側はマ・クベを総司令官とする地球侵攻部隊を降下させ、地球攻略戦を開始する。しかし急速に戦線が拡大するなかで、国力に乏しいジオン公国軍は地球圏での情勢に即応した対応が取れないまま、戦争は膠着状態へと陥る。このような戦局の中、モビルスーツの戦術上の重要性に直面した連邦軍側はサイド7での新型機開発計画を推進。MS運用母艦であるペガサス級巡洋艦の就航に漕ぎ着ける。艦長は予備役に退いていた老将パオロ・カシアス。若く未熟なクルーたちを従え、ジャブローからサイド7に帰還するテム・レイを乗艦させ、新型機受領のためペガサス級一番艦、通称ホワイトベースは「民生輸送艦」を装い連邦軍本部ジャブロー基地から出航する。しかし、そうした連邦側の動きはドズルに察知されていた。ドズルはルウムでの破格の働きで佐官に昇格していたシャアにムサイ級最新鋭艦ファルメルを与え、調査任務に送り出す。始動編開戦後もサイド7は中立地帯としてのどかなものだった。ところが、ホワイトベースを追尾するシャアはサイド7が中立とは名ばかりのV作戦の中枢と見なし、6機のザクを強行偵察任務に投入する。実戦配備直前の試作機としてコロニー外で応戦したヴェルツ大尉のガンダム1号機はザク部隊と交戦し、3機のザクと事実上の相討ちとなる。スレンダーはシャアの命令に従って待機の後、報告のため帰還。だが手柄を焦り暴走した新兵ジーンはサイド7内に突入し、無差別攻撃を敢行する。アムロもフラウに促されて避難するが、フラウの家族は爆死。フラウに避難を促しつつ、民間人にも容赦無く牙を剝くジオン軍に激怒したアムロは父のコンピューターで盗み見していた搬出作業中のガンダム2号機に搭乗し、ジーンのザクを撃破。続いてデニム伍長のザクも返り討ちで仕留める。一度の作戦で5機のザクを失ったシャアは「若さ故の過ち」として反省する。パオロはブライト・ノア中尉に指揮を代行させ、リュウ・ホセイ軍曹と共に自ら突撃艇を指揮してファルメルを攻撃するが反撃で重傷を負う。サイド7はザクの熱核融合炉爆発で外部への空気流出が深刻化し、放棄を余儀なくされる。またホワイトベースの正規クルーは迎撃戦で甚大な被害を出し、ガンダム2号機のテストパイロットであるケンプ中尉も戦死。開発責任者のテムも死亡という有様だった。やむなく、ミライが操舵手を担当することになり、迎撃戦で活躍したガンダム2号機も“現状維持”でアムロに扱わせることになる。そうした事態に苦悩するブライトにアムロは反感を抱き、カイやハヤトは自分たちを救ったガンダムのパイロットがアムロだと知って民兵に志願。運悪く戦闘に巻き込まれたセイラは避難民を誘導しつつ、医師の卵やオペレーターとして重宝される。激闘編ホワイトベースが素人だらけの状況下にも拘わらずシャアは艦隊戦を展開させた後、自らザクで出撃。シャアとの遭遇戦でアムロは未熟さを露呈しほぼ完敗するも、スレンダー機を撃墜して撤退に追い込む。連邦軍唯一の宇宙基地であるルナツーへ退避すべき状況で、ミライはシャアが手持ちの戦力に苦慮していると見抜き、補給阻止作戦を提案。ブライトはガンダムを作戦に投入させようとするもアムロが拒否。やむなくリュウが率いるガンタンク・ガンキャノン部隊での作戦実施となる。作戦はほぼ成功。ガデムとの交戦で損傷したカイのガンキャノンを除いてほぼ無傷でパプア級輸送艦を撃沈し、ファルメル撃沈も寸前となるがルナツー所属マゼラン級戦艦の妨害に遭い断念する。ルナツーの司令官ワッケイン少将は一切の弁明を認めず、機密兵器の無断使用などの軍規違反でブライトらを拘束する。一方、シャアもやられっぱなしでは済ませず自ら白兵隊を率いてルナツーに潜入。シャアの部隊の工作で宇宙港は封鎖され、停電の混乱に乗じてブライトらは脱出。シャアの到来を予期したセイラとアムロは武器を手に応戦に臨む。混乱に乗じてガンダムのデータ奪取を図るシャアだったがセイラに発見される。セイラの要請で仮面を取ったシャアの素顔にセイラは動揺。その隙に反撃し、逃走を図ろうというシャアにアムロも発砲される。結局、シャアの工作でルナツーは戦闘不能に陥った上に撤退を許し、補給阻止作戦から帰還したリュウたちは宇宙港を塞ぐ形で座礁したマゼランの撤去作業を行うことになる。そんな中、教え子であるワッケインとの面談中にパオロ艦長は永眠。若者たちに未来を託し、宇宙葬にふされる。避難民の受け入れも本人達の希望で断念し、追われるようにルナツーを出航したホワイトベースはリード大尉のサラミス級巡洋艦に先導されジャブローに向けて発艦。だが、ミライは補給を受けたシャアの追撃を警戒していた。案の定、シャアは常識外の大気圏付近での戦闘に及び、迎撃戦にガンダムを投入せざるを得ない状況となる。アムロはシャアとの二度目のMS戦に臨み奮闘するも帰還困難に陥る。シャアは先の補給で受領していた「ダブルコム」で大気圏に突入。クラウンのザク一機と引き換えにガンダムを大気圏の藻屑にしたかに見えたが、ガンダムはホワイトベース甲板に取り付いて難を逃れる。だが、シャアとの交戦で座標が狂い、ホワイトベースはジオン制圧下の北米大陸に降下してしまう。ガルマ編北米司令官に就くガルマ大佐はシャアと再会して快く迎え入れる。シャアに鼓舞され、自らドップを駆って出撃したガルマだったが、手負いのホワイトベースの思わぬ抵抗に遭う。一方、アムロは大気圏外で孤立させられた恐怖から出撃を拒否するが、ブライトから殴打された後に叱咤され、更にはフラウが出撃すると言い出したことで奮起。「ショルダーマグナム」への換装を指示し、遅れて出撃したガンダムは初めての空中戦をものともせず、敵中孤立していたリュウとハヤトのガンタンクを救出し、ガルマの機甲部隊に大打撃を与える。激昂したガルマはガンダムに迫るが片翼を切り落とされ、更には通信が途絶したことで母艦であるガウ攻撃空母への帰還困難に陥る。ガルマは奇跡的に帰還するが、通信断絶がシャアによる工作だと夢想だにせず部下の失態を詰る。一方、敵に追われ続け食糧事情にも窮するホワイトベース内では避難民たちが蜂起し、フラウやカツ、レツ、キッカを人質としてブライトに下船させるよう交渉を持ちかける騒ぎになっていた。ミライはそれを利用し、「避難民の退避」を名目にガルマと一時休戦の協定を結ぶ。シャアはこれを良い機会と捉え、ホワイトベースとMS隊を分断撃破する作戦を立案。対するミライはもっと強かでシャアの作戦を逆手に取ってガンダムとガンキャノンを避難民を乗せた輸送機ガンペリーに搭載し、キャノン・タンク部隊との挟撃作戦を立案していた(ミード湖の戦闘)。挟撃作戦はおおむね成功。だが、シャアの率いるザク分隊がホワイトベースに与えた痛手も大きく、ミード湖の対岸に退避しようとしたホワイトベースは待ち構えるガルマの砲撃部隊の餌食になるところだったが、マチルダ・アジャン中尉率いるミデア輸送隊の急報で転進して難を逃れる。マチルダは補給物資と引き換えに避難民・負傷兵を受け入れる。レビルの決定はホワイトベースは引き続き正規部隊と同様の作戦行動を求めるという苛酷なものだったが、ホワイトベースは孤立無援ではなく、命掛けで輸送任務を引き受けるマチルダもいた。アムロは毅然とした女性士官であるマチルダに恋心を抱き、フラウに嫉妬される。ホワイトベースは束の間の休日を楽しめることになり、クルーたちは一部を除きバカンスを満喫する。そんな中、郷里が近いアムロは生家に残った母カマリアを訪ねる。だが、中米一帯はジオンと連邦の制圧圏が入り組んでいた。更にジャブロー司令部からホワイトベースにロサンゼルス奪還作戦の命令が下される。アムロは難民キャンプでボランティアに携わるカマリアと再会するが、ジオンのパトロール兵と交戦。アムロ救出に向かったカイ、セイラは追われるアムロを救出。一連の再会劇で息子がすっかり戦争に染まっていることを悟ったカマリアは嘆くが、アムロは母親よりも仲間たちを選ぶのだった。ロスはガルマが本拠地を置く要衝で、ロス市長エッシェンバッハは表面上はジオンに協力する体を装いその実ゲリラと連携していたが、ガルマは更に強かで、相思相愛の関係にあるエッシェンバッハの令嬢イセリナから情報を引き出し、ゲリラ活動をコントロールしていた。パーティでの逢瀬を楽しむガルマのもとにホワイトベースがロスに接近しているという知らせが来たため、ガルマはガウで、シャアはザクで出撃。その際、ホワイトベースが廃墟化したコンベンションセンターに身を隠していることをシャアは察知するが、あえてガルマには知らせず降下爆撃中のガウへ背後からホワイトベース隊の砲撃を受けさせる。ガルマは致命傷を負い、激昂して特攻を目論むも急速上昇したホワイトベースは間一髪でこれを避ける。「生まれの不幸を呪うといい」というシャアの言葉でガルマはシャアに謀られたことを悟るが時既に遅く、戦死を遂げる。ランバ・ラル編ガルマ戦死の報はジオン側では迅速に、連邦側では補給時にマチルダからブライトに内密に伝えられる。デギンの痛手は大きく感傷に浸り、ドズルは激昂する余りシャアを除隊処分とする。だが、キシリアは弟の死にシャアが関わっていると察知していた。また、ギレンはガルマを静かに弔いたいというデギンの意向を踏みにじり、国葬とすることで戦意発揚の材料に使う。国葬後、急遽、ガルシア・ロメオ少将が指揮するジャブロー攻略地上軍の視察に出たキシリアは、部下が逮捕拘束したシャアに面談する。全く悪びれず原隊復帰を要求するシャアの手土産は、連邦軍本部ジャブローへの突入口の情報だった。その頃、「ガルマの仇討ち」というドズルからの命令を受けたランバ・ラルは、新鋭艦ザンジバルで地球に降下。新型機グフを乗り熟してホワイトベースを急襲し、アムロを手玉にとる。他方、ジオンの前線基地が連邦の新型MSに急襲され陥落するという事態が進行していた。両軍がMSを実戦投入したことで、膠着状態は解消に向かう。そしてアムロ、シャアの戦いも激化していくのだった・・・。ジャブロー編オデッサ編ララァ編ソロモン編ひかる宇宙編めぐりあい宇宙編

機動戦士ガンダムNT
(きどうせんしがんだむNT
2018年11月30日
吉沢俊一
サンライズ
宇宙世紀0079年。ヨナ、ミシェル、リタの3人の少年少女は、ジオン公国軍のコロニー落としを事前に察知し、多くの人々を避難させて命を救ったことで「奇蹟の子供たち」と呼ばれるようになる。しかし身寄りをなくした彼らは、その能力に着目した地球連邦軍により、一年戦争終結後には特殊な施設で過酷な実験に晒されることとなった。数年が経過した後、ミシェルの一計によってヨナとミシェルは施設から逃れられるも、残されたリタはやがてユニコーンガンダム3号機フェネクスと共に行方が途絶えてしまう。そして宇宙世紀0097年。「ラプラスの箱」をめぐるラプラス事変は、「袖付き」の壊滅と「箱」の開放によって決着。その立役者となったユニコーンガンダム1号機と2号機バンシィ・ノルンは、現在では扱い切れない技術的特異点「シンギュラリティ・ワン」として解体・封印されていた。だが、それと前後して行方不明であったフェネクスが地球圏各所で目撃されるようになる。ルオ商会の重鎮となっていたミシェルはシンギュラリティ・ワンと同等の力を手にするため、フェネクス捕獲作戦「不死鳥狩り」に着手するとナラティブガンダムを調達し、そのパイロットとしてヨナを参加させる。だが、ミシェルはジオン共和国軍にもIIネオ・ジオングを譲渡しており、サイコフレーム搭載機同士を争わせることによってフェネクスをおびき出すことを画策していた。秘密任務のために「袖付き」の残党を装うゾルタン・アッカネン率いるジオン共和国正規軍は、ミシェルの思惑に乗せられてスペースコロニー内で「不死鳥狩り」部隊と戦闘を開始する。多数の民間人犠牲者が出る中、ナラティブガンダムは一時的にフェネクスを捕らえる事に成功するも、ヨナの激情に端を発した暴走を経て、最終的には飛び去られてしまう。戦闘後、ミシェルはリタへの贖罪を兼ねて、ユニコーンガンダムの力を手に入れようとしたことを告白する。一方、ゾルタンの戦闘行為を問題視したジオン共和国側は、責任を追及される前に彼を切り捨てようと目論む。しかし、それを知ったゾルタンは自暴自棄になって、IIネオ・ジオングの力で新サイド6のヘリウム3備蓄基地を臨界爆発させ、地球圏に壊滅的な打撃を与えようと暴れだす。リタの思念を感じて戦場に駆けつけたヨナとミシェルらは、フェネクスと共闘してゾルタンと対決。ヨナはミシェルを喪いつつも、最終的にはフェネクスの力を引き出してIIネオ・ジオングを撃破する。全てを終えたフェネクスは、最後にヨナを降ろして銀河の中心に向けて飛び去っていったのだった。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
(きどうせんしがんだむせんこうのはさうぇい
2021年6月11日
村瀬修功
サンライズ
宇宙世紀0093年。後に「第二次ネオ・ジオン抗争」と呼ばれる戦火のなかで、ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノアは、初恋の少女クェス・パラヤの死や戦場で死んでいく人々の魂の声、そして伝説のニュータイプ戦士アムロ・レイと人類粛清を掲げたシャア・アズナブルの生き様を目の当たりにした。それから時は流れ、青年へと成長したハサウェイは、地球連邦政府の高官ら特権階級の人々が地球の汚染を加速させており、「人狩り」とも呼ばれる強引な手段で民衆を宇宙に送り出す政策によって地球を私物化していることを知る。これまでの戦争で死んだ全ての人々の行為を無下にしないため、ハサウェイは反地球連邦組織「マフティー・ナビーユ・エリン」への参加を決意。やがてハサウェイは組織の表向きのリーダー「マフティー・ナビーユ・エリン」として、アムロからは「ガンダム」を、シャアからは「地球の保全」という遺志をそれぞれ受け継いだ戦士となる。マフティーによる、腐敗した特権階級の粛清がスペースノイドたちから歓迎されるようになった宇宙世紀0105年4月19日。マフティーの討伐を命じられたケネス・スレッグ大佐は、特権階級専用往還シャトル「ハウンゼン」で地球に降下する途中、植物監察官候補として降下しようとしていたハサウェイと、このシャトルには似つかわしくない少女ギギ・アンダルシアと出会うが、大気圏へ突入し始めたとき、突如マフティーを名乗る集団にハイジャックされる。機内にはアデレードで行われる連邦議会に出席するため、連邦政府高官らが多数搭乗していた。

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
(きどうせんしがんだむくるるすどあんのしま
2022年6月3日
安彦良和
サンライズ
宇宙世紀0079年(U.C.0079)、地球連邦軍は自治権を求めるジオン公国との戦争に突入し、世界総人口の半分が消失するほどの激戦を繰り広げていた。本部であるジャブローへの奇襲を辛くも切り抜けた連邦軍や戦いに巻き込まれたアムロたちホワイトベースの面々は、ジオンの地球進攻軍本拠地であるオデッサを目指す。その最中、反撃に際して万全を期すための補給を受けにベルファストを経由することに決めたホワイトベースのもとへ突然、無人島・アレグランサ島の残敵を叩けという内容の指令が下る。早速調査を始めると、島には謎の子供たちと1機のザクが潜伏していた。戦闘でアムロはガンダムを失ってしまったうえ、目の前にはククルス・ドアンと名乗る謎の男が現れる。
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